塾帰りや公園で遊んだあと、ついついコンビニでジュースやスイーツ、ポテトチップスなどを買ってしまう子も多いかもしれません。「コロナ禍以降、子どもの肥満が増えている」と指摘するのは、子どもの肥満に詳しい小児肝臓消化器科専門医・乾あやの先生です。最近の子どもの肥満の傾向や、その問題点についてお聞きしました。
【グラフ】子どもの肥満が増えている?データはこちら10~11歳男児で目立つ肥満。コロナ禍以降、顕著に増加
――子どもの肥満は増えているのでしょうか?
はい、近年、子どもの肥満は年々増加傾向にあります。そして、肥満児の割合は都市部よりも地方に多く、女児よりも男児の割合が高いという傾向があります。
特に10~11歳男児の肥満が目立っていて、全国の満5~17歳を調査対象とした2022年度の学校保健統計(文部科学省)によれば、肥満傾向にある11歳男児の割合は1977(昭和52)年の6.72%から、2003年には約2倍の11.83%になり、その後はやや下落、横ばい傾向になって14年には10.28%に。それがコロナ禍以降、再び上昇しはじめ、コロナ禍の調査状況はそれまでと違って単純比較はできないものの、22年には13.95%となっています。
スポーツ庁が小学5年生約99万人、中学2年生約91万人に行った2022年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果でも、17年ごろまでは小学5年生(10~11歳)男児の肥満傾向児の割合は10%前後で横ばい傾向でした。
それが18年から上昇に転じ、とくにコロナ禍の21年以降に顕著に増加しています。小学5年男児の肥満割合は21年に13.1%、22年には14.5%に、女児も21年に8.8%、22年に9.8%と、22年は小学校男女で過去最高を記録しています。
――子どもの肥満の主な原因は。
子どもの肥満が増えている原因として、食生活の乱れ、運動不足、ゲームやスマートフォン、タブレットなどのスクリーンタイムの増加などによる生活習慣の乱れなどがあります。
昨今は高カロリーかつ高脂肪の加工食品やファストフード、甘い飲み物やお菓子が巷(ちまた)にあふれています。食生活の乱れは、こうした食べ物がコンビニなどでいつでもどこでも手軽に買えるという環境も大きく影響しています。
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