おすすめポイント

 けんとくんが最初に手紙を出したのは、1年前に転校していった、まさきくん。どこに引っ越したのかさえ知らないけれど、借りっぱなしの消しゴムのことをふと思い出したからです。2週間後、まさきくんから届いた返事には、アメリカに住んでいること、消しゴムはそのまま使っていいことなどが書かれていました。

 次にけんとくんが手紙を出した相手は、アフリカのキリンたち。ニュースでアフリカに寒波がやってくると知り、大好きなキリンたちのことが心配になって、魔法のポストに手紙を投函します。すると、キリンたちがある方法で寒さ対策をしているというニュースがテレビで報じられました。けんとくんの手紙が役に立ったのです。

『まほうのゆうびんポスト』(やまだともこ 作/いとうみき 絵/金の星社 刊)

 ふだんはなかなか会えない相手にも思いを届けることができる手紙の良さはもちろん、返事を待っている間のドキドキや相手に自分の思いが伝わったときのうれしさなど、手紙の醍醐味を味わえるおはなしです。

 いろんな相手に手紙を出しているうちに、相手を思いやる心が育まれ、成長していくけんとくん。最後には、心の中でふたをしていたモヤモヤの気持ちと向き合おうとします。天国にいるおばあちゃんにずっと謝りたいことがあったのです。何度も何度も書き直しながら自分の思いを手紙に綴るけんとくんの姿から、たとえ言い出しにくいことでも自分の気持ちとまっすぐ向き合うことの大切さが伝わってくるでしょう。果たして、けんとくんの思いはおばあちゃんに届くのでしょうか。もしも魔法のポストを見つけたら、誰に手紙を出してみたいか考えてみるのもおすすめです。

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