親はどんな声かけをしたらいい?

Q 不登校が起立性調節障害によるものか、別の理由があるのかを見極める方法はありますか?

 私の外来で、起立性調節障害の患者さんに学校に行きたいかどうかを聞くと、9割以上が「行きたい」と答えます。もし「行きたくない」と答えた場合には、その理由を丁寧に確認する必要があります。場合によっては、学校でのトラブルなど別の理由があることが考えられます。また、起立性調節障害であれば、夕方から夜にかけては元気になってスマホやテレビを見て笑ったり、ゲームを楽しんだりする傾向がありますが、夜になっても笑顔が全く見られない、元気がないといった場合は、抑うつ状態など精神的な不調も考えられ、注意が必要です。

Q 朝起きられない子どもに対して、保護者はどう声をかければいいですか?

 朝はぐったりしているのに、午後になると走りまわったり、ゲームをしたりと絶好調。でも翌朝になると元気がなくなる。毎日このサイクルを見ていると、保護者としては朝の不調はサボりや怠けなのではないかと疑いたくなることもあります。疑うまではいかなくても、つい「もっとちゃんとしなさい」「少しはがんばりなさい」などと声をかけてしまうこともあるでしょう。しかし、このサイクルが起立性調節障害なのです。本人ががんばったところで、また、早く寝たところで、朝の調子がよくなるわけではありません。そのことをよく理解したうえで、声がけをすることが大事です。

 起立性調節障害がある子は自分のつらさをうまく表現できない、伝えられない場合があります。伝えたところで、否定されてしまうこともあります。すると自分が悪いのではないかと思い、自分は親の期待に応えられないダメな子だと感じるようになる可能性があります。自尊感情の低下は症状を悪化させ、長引かせる要因になりかねません。

 朝起きられない子から、「〇〇で困っている」「〇〇でつらい」など、保護者や学校の先生が相談を受けた場合、次のような声がけを意識しましょう。起立性調節障害のみならず、子どもからのさまざまな相談に対応するうえでのポイントになります。 

①受容する 「うん、うん、そうだったの」

②共感する 「それはつらかったね」「大変だったね」

③支持 「それでいいよ」「お母さんもそう思うよ」

④保障 「大丈夫だよ」「心配ないよ」

⑤援助 「助けるよ」「相談にのるよ」

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