起立性調節障害になりやすいタイプはいる?
Q かかりやすい年代は?
第二次性徴が始まる小学校高学年くらいから増え始めます。日本小児心身医学会によると、小学生の5%、中学生の10%が発症していると言われています。受診する年代は中学生が多いですが、話を聞いてみると小学校高学年くらいから症状が出ていた子も少なくありません。一方、低学年の子が起立性調節障害を疑って受診するケースもありますが、検査をしてみると当てはまらない場合が多いです。この場合は起きられない理由、学校に通えない理由がほかにないかを確認することが大切です。高校生になってから発症することもあります。一方、小中学生のときに起立性調節障害があっても高校生になると9割以上は回復します。
Q 起立性調節障害を発症しやすいタイプの子はいますか?
心理的なストレスが引き金となるという指摘もありますが、はっきりとしたことは明らかになっていません。また、几帳面で真面目な性格な子どもが発症しやすいとも言われています。成長過程における自律神経の不調なので、思春期の子は誰でも発症する可能性があるといえます。
Q 遺伝はありますか?
遺伝子レベルで解析されているわけではありませんが、約半数に遺伝傾向がみられると言われています。保護者世代は起立性調節障害という診断を受けていないことも多いですが、診察の際に「お父さん、お母さんが子どものころはどうでしたか?」とたずねると「学校の朝礼で倒れたことがある」「10代のころは朝起きるのが苦手だった」とおっしゃることがあります。
病気の可能性を調べるチェックリストは?
Q 起立性調節障害かどうかをチェックするポイントはありますか?
起立性調節障害の身体症状には次のようなものがあります。
□立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
□立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
□入浴時、あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
□少し動くと動悸、あるいは息切れがする
□朝なかなか起きられず、午前中調子が悪い
□顔色が青白い
□食欲不振
□おへその周りの腹痛(臍疝痛・さいせんつう)をときどき訴える
□倦怠(だるさ)、あるいは疲れやすい
□頭痛
□乗り物に酔いやすい
『小児心身医学会ガイドライン集改訂第3版』では、上記11項目のうち三つ以上、あるいは二つでも起立性調節障害が疑われる場合には、適切な対応が必要としています。ただし、あくまでも疑われる状態なので、診断には起立直後の血圧や心拍数を調べる「新起立試験」を受けることが不可欠です。
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