――「『できる』から『よくできる』に上がったね!」「あー、こっちは『もう少し』に落ちちゃった……」と、学期末は通知表を前に「○」の位置や数字、アルファベットに一喜一憂するのが定番の光景です。次からは、見かけにとらわれず、先生がこめた真意を意識してみようと思います。

 私としては、保護者の方には通知表を「たかが」と「されど」の両面で見てほしいと感じます。

 教師という仕事をしているといっても、たかだか一人の大人の意見です。しかも30〜40人をひとりで見ているので、いくら熱心にがんばったとしても全員の内奥までもしっかり把握することはできません。そんな人の言うことなので、「そんな意見もあるんだね」くらいにとらえるのもいいのではないでしょうか。

 その一方で、教師はお子さんと長い時間を一緒に過ごしており、また、たくさんの子どもたちを見る経験を持っています。そんな人の言うことだから、「一理あるかもね」ととらえることも有益なのかも知れません。

通知表は、子どもの成長を願ってわたされるもの

――「両面」を意識することですね。

 そして、通知表の見方でもう一点。

 いちばん大切なのは、通知表を作る側と受け取る側が「何のための通知表か」、つまり目的を共有しているということなのだと思います。

 保護者会などで、通知表に関して「結果としての数字を見るのではなく、お子さんの成長をみてください」と言われたことはありませんか? かくいう私も、何度も保護者の皆さんに言ったことがあります。「そうは言われてもやはり結果で見てしまう……」という気持ちもとてもよくわかりますし、子どもたちにとっても数の多寡や○の位置で見るほうがわかりやすいということも理解しています。

NEXT通知表は「みちしるべ」
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