中高一貫校の魅力の一つに、多種多様な「部活動」があります。都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんは、受験後も教え子たちと交流を続けるなかで、中学受験生たちの“その後”を見つめ続けています。AERA with Kids+の連載「中学受験、その先に」。今回は、「部活」を志望校選びの指標にした男子生徒のエピソードをご紹介します。
【マンガ】起立性調節障害から不登校に 娘と父の“二人三脚”で挑んだ400日の中学受験「鉄道研究部に入りたい」が受験のモチベーションに
――小学校生活と中学校生活の大きな違いの一つに「部活動」があります。部活を軸に志望校選びをした生徒はいましたか。
塾の1期生に、鉄道が大好きな男子生徒がいました。彼が志望校を考えるうえで大切にしていたポイントは「鉄道研究部」があるかどうか。鉄道に乗り、遠くまで行くのが好きな子で、鉄道研究部のある男子校を第1志望にしました。保護者の方も、その学校の校風や、生徒たちを長い目で見守る教師たちのスタンスに惹かれ、進学を熱望されていました。
ひと言に「鉄道研究部」と言っても、鉄道写真を撮るのが好きな“撮り鉄”が多い部活、模型を作るのが好きな人が集まる部活……などと学校によってカラーは異なるようですが、そこも彼の好みに合致したようです。「あの学校の鉄道研究部に入りたい」という気持ちが大きなモチベーションとなり、前向きに勉強に取り組んで無事に合格を手にしました。
――入学後は、どのような日々を送っていましたか。
高校を卒業するまでの6年間、念願だった「鉄道研究部」に所属していました。他人の目を気にせず、好きなことに没頭できる男子校ならではの雰囲気もあり、鉄道をずっと好きでい続けることができたようです。運動部に比べると、文化部の多くは体力的にも余裕があり、勉強とも両立しやすい環境だったようです。
大学進学後、就職も鉄道にかかわる企業を選びました。「好きなものに携われる道を模索したい」とずっと言っていたので、そう思えたのも中学・高校時代に仲間たちと好きなことに熱中するという経験があったからこそでしょう。いまも時々連絡をくれますが、毎日が充実しているようです。
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