旅の醍醐味はさまざまですが、「せっかくなら子どもの教育に良い影響を与えたい」と考える人も多いはず。大阪のウォーターフロントに位置する都市型ホテル「星野リゾート リゾナーレ大阪」は、世界でも先進的と言われる乳幼児教育法を導入したアートスペース「アトリエ」で自由に遊べるのが特徴です。大阪湾を一望する非日常を味わいながら、好奇心の赴くまま遊びこむ滞在を。「学び」にフォーカスした新しい旅の形を紹介します。

28階の「アトリエ」で多彩なアート体験を

 近年、「旅育(たびいく)」と呼ばれる、家族旅行が注目されています。いつもと少し違う場所で子どもの興味の幅を広げ、旅先での体験を通じ、心や人間性の成長を促すというものです。国内6カ所、海外1カ所に展開する「星野リゾート リゾナーレ」はそんな体験もできるリゾートホテル。風景を生かした空間デザイン、豊富なアクティビティー、素材を楽しむ食など、その土地・季節ならではの体験を通じ、大人も子どもも心から満足できる豊かな家族旅行をかなえてくれます。

 なかでも2022年末に開業した「星野リゾート リゾナーレ大阪」は、都会の喧騒(けんそう)から離れた大阪南港エリアに位置するファミリー向けリゾートホテルです。最大の特徴は、最上階28階にある約470平方メートルの広大な「アトリエ」。大阪湾を一望しながら、砂や粘土で好きなものを造形したり、さまざまな画材を使って窓や床に絵を描いたり、光や色、音に触れて想像力を膨らませたり。あらゆる角度から子どもの興味・関心をかき立て、自由な表現方法で遊び尽くせる場所です。

アトリエには子どもたちがやってみたい、と思う気持ちを思う存分発揮できる工夫が詰まっている

 このアトリエに導入されているのは、イタリア発祥の乳幼児教育法「レッジョ・エミリア・アプローチ」。「子どもが100人いれば100通り、無限の可能性がある」という考えの下、子どもの創造性や共同性を育成するため、多彩な素材を使ったアートや、プロジェクトと呼ばれるテーマ探究型のグループ活動を取り入れているのが特徴です。

「多種多様なものが集まる物流拠点である大阪南港」をテーマとした、カラフルで洗練された装飾も目を引きます。ここに広がるのは、先進的な乳幼児教育の理念に地域特性を組み合わせた特別な空間。子どもが新たな興味・関心に目覚めたり、親子のコミュニケーションが深まったり……。好奇心を刺激するさまざまな仕掛けが、忘れられない思い出を刻んでくれそうです。

「興味」「探索」「表現」を深める3エリア

 アトリエには奥に進むほど探究が深まっていく仕掛けが施されており、大きく三つのエリアに分かれています。入り口にあるのは、地元アーティストとのつながりを感じられる「ギャラリー(興味)エリア」。アーティストの作品やシーズンごとの展示が、子どもの興味をかきたて、創造力のスイッチを押してくれます。

 続いては、五感をフルに活用する「探索エリア」。ここではベンガラ染めの布や四季ごとに色が変化する葉を通じた色彩感覚の探究、柔らかいものやかたいものに触れる質感・形の探究、プロジェクターを用いた光と影の探究などが可能です。なかでも人気を集めるのが、4種の陶芸粘土を使ってゼロからのモノづくりを体験できるエリア。粘土はそれぞれ色や質感が異なるうえ、日替わりで用意されているので、訪れるたびに新たな発見をもたらしてくれそうです。

専門家が使用する絵の具や筆など、画材と出合える場所もある。絵の具の色の濃さや筆の太さなど種類豊富で、画用紙、窓、床に広がる大きな紙をキャンバスに絵を描ける
プロジェクターでマテリアル(素材)を投影できる場。素材を映すことで、色が透き通って見えたり、見え方が変わったりと、光と影の性質を探究できる
アトリエ内にあるライトテーブル。光を通すモノ、通さないモノを組み合わせて置き、創造力を膨らます体験ができる
粘土で好きなものを造形中。ゼロから何かをつくったり、こわしてやり直したりを繰り返すことで探究心を深めていく
自然物、工業製品、工芸品など、暮らしの中の身近な素材が集まり、多様な表現素材と出合えるマテリアルライブラリー。魚・海、虫・昆虫、地学・石、工芸、工業といった、関係性を持つ五つのテーマに沿ったマテリアルや道具が集まる

 最後は、さまざまなプロジェクトに参加できる「表現エリア」。芸術の専門家「アトリエリスタ」との対話を通して与えられたテーマに向き合い、時には周りの子どもと一緒に作品作りに挑戦することも。終了後は、家族と一緒に振り返りを行います。

 例えば、2024年9月末までは「“涼しさ”に出会う『風を探す旅』」を実施中。プロジェクトルームにダイナミックな風が吹きあがる「風の装置」を設置し、鳥の羽や葉物、リボン、オーガンジーの軽やかな布が風に舞い上がります。目には見えない風の形や動きをとらえて、イメージや想像を膨らませましょう。地球温暖化の問題も見過ごせない昨今、地球に優しく快適に過ごせる夏の「涼」を子どもたち自身で探究します。

アトリエリスタと一緒に、これから訪れる暑い夏にどんな風が遊びに来てくれたらうれしいか、自分にとっての風や涼しさを探す

宿泊用客室「アトリエルーム」にも創造力を育む工夫が

 星野リゾート リゾナーレ大阪には、アトリエ以外にも創造力を刺激する工夫がいっぱい。全64室中、24室をコンセプト客室「アトリエルーム」として改装しています。赤を基調とした壁一面や窓には、専用の色鉛筆を使って好きなように絵や文字を描いてOK。ストレス解消やリラックス効果も見込めるので、大人も一緒に夢中になってしまいそうです。

 さらに、「アトリエルーム デラックス」というタイプの客室では、天井からネットが張り巡らされています。登ったり寝転んだりして、全身を使って思いのままに遊ぶことができます。

部屋でもアスレチックネットで遊んだり、壁に絵を描いたり、身体を使って楽しめる。写真はアトリエルーム デラックス

特別なアート空間で子どもの自己表現力を高めよう

 科学や数学などとは異なり、アートやプロジェクト探究に正解はありません。大人が考えた正解や知識を与えるのではなく、子ども自身が自由に考えをめぐらせ、創意工夫をする。その過程を大切に見守ることで、自己表現力や課題探究力を高める効果が期待できるのです。

 モノの色味や香り、質感、構造、窓から入る風や日の光。星野リゾート リゾナーレ大阪での体験を通じて、私たちの身の回りには、たくさんの学びの材料があふれていることに気づくはずです。0歳から参加できるアートスペースで、親子一緒に主体的に課題を発見する力、伝える力、表現する力を育んでみてはいかがでしょうか。