中学受験の学校選びにおいて、偏差値は切っても切れない関係です。しかし、偏差値はあくまでも目安。親がむやみに追いかけすぎると、子どもの明るい未来をつかみ損ねる結果になりかねません。今回は、娘の中学受験で、「偏差値重視」から舵を切ったママライターが、自身の経験を振り返り、現在に至るまでのエピソードを紹介します。

MENU 「この難関校も夢ではない」塾講師の言葉で親の心に火がつく 自分は成し得なかったけれど、「娘ならできるかもしれない」 なぜ私は「偏差値」にこだわったのか 偏差値重視から校風重視に変更! 娘の“本当の志望校”が決まる いつのまにか娘は母の手をはなれ、自立に向かって歩んでいた

「この難関校も夢ではない」塾講師の言葉で親の心に火がつく

 わが家の中学受験のきっかけは、本人の希望でした。大好きな隣のお姉さんが中学受験をしたから、仲良しの子も受験するから、地元の公立中に進む苦手な子と離れたいから……。複合的な理由によって受験への思いは強くなり、小5の夏前ごろから準備を進めました。

 しかし、中学受験は決してやさしいものではありません。友だちが毎日のように公園で遊ぶなか塾に通い、宿題に追われる生活に。しかも、通塾した当初の偏差値は、30台。娘は幼いころから公文に通い、小学校でも成績優秀だったので、“中学受験の壁の高さ”に衝撃を受けました。

 ところが、必死に勉強して数カ月、模試で偏差値50をとれるほどに急上昇。さらに、「お子さんなら難関校も夢ではありません」と塾の先生から言われたことで、親の心に火がつきました。「もっと勉強したら、この子はもっといい偏差値の学校に行けるはず」――。「平日5時間、土日10時間の勉強スケジュールで頑張ればいけるんだって!」と娘に発破をかけて、過度な期待をして重いプレッシャーを背負わせていました。

自分は成し得なかったけれど、「娘ならできるかもしれない」

 中学受験の世界には、「親のほうがのめり込みやすい空気が流れている」とも聞きますが、私もその一人だったように思います。X(旧Twitter)の中学受験アカウントをのぞくと、ごくわずかな上位層の子の成績や最難関校といわれる志望校の話が飛び交い、そんな発信を見ては「もっと偏差値をあげなきゃ、勉強させなきゃ」と気持ちが焦る日々でした。

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東山令
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