小学校の高学年になるほど五月病が増える傾向も見られます。低学年のうちは早めに寝るので睡眠で疲れを回復できているのですが、高学年になるとスマホやゲーム、勉強などで夜更かしをして、睡眠が足りていない子も多い。さらに高学年では習い事や塾なども増えるので、体にかなり負担がかかっているんですね。

 そして神経発達症があるなど、集団になじむのが苦手な子も、注意が必要です。

周囲の大人が”サイン”に気づいてあげることが大切

――五月病のサインを教えてください。

「疲れやすい」「食欲が落ちる」「やる気が出ない」が、よく見られる症状です。頭痛や腹痛、動悸、めまいを訴える子もいます。

 よく見られる症状の中でも食欲の低下は親も気づくことができますが、疲れている、やる気が出ないという症状は、子どもは自覚しにくく、親にもわかりづらいものです。すぐ横になりたがるとか、朝起きられない、学校に行きたがらなくなった、といったサインを見逃さないようにしてください。

――「子どもだからこそ」の注意点はありますか?

 子どもが大人と大きく違うのは、「自分では気づけない」ということです。大人なら「最近疲れがたまっているから早めに寝よう」などと対策を講じることができますが、子どもは疲れているといった自覚が乏しく、これ以上続けたら体調を崩すといった判断がなかなかできません。

 また「とにかく頑張らなくちゃ」「学校は行かなければならない」と思い込んでいる子もいます。学校の様子を聞くと、本当はつらいのに「大丈夫」「学校は楽しい」などと答える子も多く、不調が見過ごされてしまうことも少なくありません。

 保護者や先生など周囲の大人が注意深く観察し、気づいてあげることがとても大事なのです。

まずは休養 欠席が3日続いたら受診を

――五月病のサインに気づいたら、親はどうすればいいでしょうか。

 五月病は6月になったら自然に治るというものではありません。

 疲れがたまって体力が落ちている状態なので、まずはしっかり栄養と睡眠をとって体を休ませましょう。

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