中学受験と習い事、どうしたらいい?

――中学受験のために、習い事をやめるのか、やめるならどのタイミングが良いのか。多くの人が悩む問題です。

 個人的には、「受験のためには習い事をやめた方がいい」とはまったく思っていません。実際、彼女の場合は英語を続けたことで自身の成長や“その後”につながりました。「練習に時間を割けない」「レッスン当日に、できる範囲で進める」といった事情を相手に伝え、許容してもらえるのであれば、実現可能な形で続けていけばいいと思います。

 サッカーや野球といったチームスポーツであれば、スケジュールを立てづらい側面はありますが、英語やバレエ、ピアノといった個人でできるものであれば、続けながら中学受験に挑戦してもいい。「6年になったら、すべてを受験勉強に捧げなければ」と考える方も多いですが、「偏差値的に上に行く」という発想だけでなく、「習い事を続けながら、手が届く範囲のなかで学校を選ぶ」という視点を持っていてもいいと思います。

 習い事を通して培った経験や頑張り、諦めずにやり抜く力は、きっと中高での生活でも発揮され、自分を支えてくれる“強み”になっていくと思うのです。

(聞き手/古谷ゆう子)

「偏差値が高い学校」に入ったほうが子どもは幸せなのか 中学受験の人気塾長がみた、卒業生たちの“その後”
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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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