標準偏差とは、「得点のばらつき」を示します。受験者全体が平均点付近に密集している場合は、平均点より高い点をとると偏差値は高くなります。逆に受験者全体の得点がばらついている場合には、平均点以上の点をとっても偏差値はそれほど高くなりません。
このように偏差値は、あくまでもテスト受験者内での比較による相対的な評価です。
同じ学校なのに、模試によって偏差値が違う!?
――同じ学校なのに模試によって偏差値の数値が変わるのはどうしてですか。
学習を評価する基準には基準準拠評価(絶対評価)と集団準拠評価(相対評価)があります。例えば、英検2級のような学習評価は、どこで誰が受けても英検2級です。ところが偏差値は相対的なものなので、受ける集団が違うと偏差値も変わってくるのです。
難関校を目指す子が多い塾の模擬試験(模試)は、受験者全体の学力が高いため平均点が高くなります。そのため、ほかの塾の模試よりも偏差値が低く出ることが多いのです。逆に中学受験をするかどうか決めかねているような受験者も含む模試では、全体の平均点も下がるため、偏差値が高く出ることがあります。
偏差値は主に模試を行う会社や塾が出しています。例えば関東ではSAPIX、四谷大塚、日能研、首都圏模試による偏差値が有名です。一例として、2月1日受験の80%合格率のデータから、主要な学校の偏差値を見てみましょう(※学校は編集部抜粋)。
同じ学校でも模試の種類によって、偏差値が違うことがわかります。例えば法政の偏差値を見ても、SAPIXでは45、四谷大塚(男子)では55、日能研では56、首都圏模試では67となっています。同じ学校の偏差値でもSAPIXと首都圏模試では22も違います。
――各塾などの偏差値表は、どうやって使い分けたらいいですか。
SAPIXは難関校を目指す受験生が多いため、偏差値が低くなりがちです。四谷大塚と日能研とはほぼ同じくらいの数値になっています。首都圏模試は、大手塾ではない中小塾に通っている受験者も多く、受験者層の幅も広く、試験の難易度もやや易しくなっています。
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