中学受験で志望校選びの物差しの一つとされる「偏差値」ですが、そもそも偏差値とは何を意味する数値なのでしょうか。知っているようで意外と知らない偏差値のあれこれについて、中学受験に詳しい森上教育研究所所長の森上展安さんにうかがいました。
【図】同じ学校でも「偏差値」は模試によってこんなに違う!受験者全体の中でどの位置にいるかを示した数値が「偏差値」
――偏差値は、そもそも何を示した数値ですか。
偏差値は、学力試験や模擬試験を受けた際に、受験者全体の中でどの位置にいるかを示した数値です。
例えば模擬試験を受けて算数と国語の試験でどちらも70点だったとします。ところが算数と国語では難易度が異なり、平均点が大きく違いました。算数の平均点が80点だった場合、算数の70点は受験者平均以下の得点ということになります。一方、国語の受験者平均が40点だったら、70点はかなり上位の得点になります。
このように受験者の得点が、受験者全体のどの位置にいるか、自分はどのくらいの学力があるのかを示すのが「偏差値」になります。受験者の平均を偏差値50として、自分は平均からどのくらいの位置にいるのかを示しています。
もし偏差値が50なら、全体の50%の位置で、1000人の受験者がいれば500位になることを示します。偏差値65なら上位6.68%に位置して、1000人中で約66位になります。
偏差値は、テストの問題の難易度に左右される得点と異なり、どのような難易度であっても、受験者全体の中でどの位置にいるのかがわかります。
偏差値は、どのようにして生まれたの?
――偏差値が生まれたきっかけは何ですか。
偏差値は東京都立中学の教員であった桑田昭三さんによって1957年に考案されました。当時は高校への志望校選択を教員の「経験」と「勘」で決定していたので、より科学的、合理的に割り出すために考案されました。
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