EMDRの基本的な原理は、患者がトラウマに関連することを思い出しながら、特定の眼球運動を行うことで、その思い出の処理を促進し、否定的な影響を和らげることができるというものです。これらのアプローチは、PTSD症状だけでなく、関連する抑うつや不安の症状を減少させることにも寄与します。

 心理的アプローチ、特にCBTやEMDRなどの治療法は、災害によるトラウマを負った子どもたちを支援するうえで、非常に有効な手段であることが分かります。

負の影響を克服して、心を強くするカギに

 今回の能登半島地震は、自然災害が子どもたちにもたらす課題を改めて思い起こさせました。物理的な再建はある程度予測がつきますが、まだ若い子どもたちの心理的なリハビリテーションは予測がつかず、想像以上に注意が必要です。

 エビデンスに基づいた精神的な健康へのアプローチは、地震などの災害による負の影響を克服し、子どもたちの心の中で強靭性を育む鍵となります。

 自然災害後の心理的影響に対応し、回復と強靭性をうながすためには、心療内科、小児科、教育などあらゆる分野間での協力が不可欠です。これらの心理的後遺症に対処しながら、社会的弱者である子どもたちの回復の道を開くためには、さまざまな分野にいる大人たちが長期的に連携し続ける「前線」が必要なのです。

(小児科医、新生児科医・ふらいと先生/今西洋介)

ふらいと先生
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今西洋介(ふらいと先生)
小児科医・新生児科医 今西洋介(ふらいと先生)

小児科医・新生児科医。日本小児科学会専門医/日本周産期・新生児医学会新生児専門医。一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。小児公衆衛生学者。医療漫画『コウノドリ』取材協力。富山大学医学部卒業後、都市部と地方の両方のNICU(新生児集中治療室)で新生児医療に従事。Xアカウント(@doctor_nw)は2024年3月現在14万フォロワー。

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