夜尿症を放置してはいけない理由とは?
子どもに夜尿症がある場合、保護者には何ができるでしょうか。一次性の場合は尿意が起きて覚醒する能力が発達してきたら、二次性の場合は心理的ストレスが和らいでいけば自然に治る可能性が高いといえます。だからといって放置しておいていいわけでもありません。その理由は主に二つあります。
一つは、夜尿症があることによる精神面への影響です。海外のデータで夜尿症がある子どもはそうではない子どもに比べて自尊心が低いという報告があります。さらに治療によって夜尿症が回復すると、自己評価が上がることがわかっています。
もう一つは、極めてまれではありますが、夜尿症の背景に脳腫瘍(しゅよう)、甲状腺機能亢進(こうしん)症、糖尿病、先天的な尿路異常など重大な病気が隠れている可能性があることです。そのほか、便秘や発達障害と関連している場合もあります。
「ひどい便秘になると便が膀胱を圧迫し、尿を十分にためられなくなります。また、発達障害がある子どもはトイレより眠気を優先してしまう、あと先を考えずに寝る前に水をがぶ飲みしてしまうといった傾向も見受けられます。夜尿症によってはじめて便秘や発達障害が見つかるケースもあるのです」(西﨑医師)
こうしたことから、受診して病気の有無を確認すること、治療によっておねしょを改善することに意義があるのです。
(取材・文/中寺暁子)
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