勉強を一緒に頑張った仲間に上も下もない 

  その時に、Tちゃんのお母さんは、はっきりと感じたと言います。よほど子どものほうが、事実だけをしっかり見ることができているということ。また、哀れんだり同情したりするのは大人の勝手な尺度で判断しているだけで、勉強を一緒に頑張った仲間だということに上も下もないということ。もしかしたら、子どもに成功体験をさせてあげたいと思いながらも、自分自身の見えやこだわりも加味されていたのではないか、と。結果ではなく過程を認め合えることの重要性を子どもの言葉から気づかされたそうです。

  きっと、Y君にも悔しい気持ちや悲しい思いもあったでしょう。それでも友達の健闘をたたえ、一緒に「お疲れさま!」と言い合えたのは、おのおのの努力を素直に認め合っていたからに違いありません。その努力は不合格だったから消えるものではありません。Y君の今後の糧になっていくに違いないのです。

 合格だけにこだわるのではなく、その子なりの努力とそれに伴う変化を認めてあげることが、中学受験における親の最後のサポートなのかもしれません。

(取材・文/鶴島よしみ)

MEGUMIが語る「思春期」息子の子育て 中学受験を直前で断念も「結果としてやめてよかった」
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鶴島よしみ
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