2024年の中学受験が終わりました。合格か不合格か――子どもたちの数年間の頑張りにシビアな結果が示されることもあるのが中学受験です。どんなに大人びて見えても、まだまだ経験値の低い小学生。努力と結果が必ずしも結びつかない理不尽さをすんなりと受け入れることは難しく、たった一つの結果に振り回されてしまうこともあります。自らも子どもの中学受験を経験したライターが、不安に押しつぶされて実力を発揮できずにいた女の子の受験ストーリーに迫ります。
【無料マンガ】中学受験は合否だけじゃない。母に贈った一輪の花に息子が込めたメッセージとは「国語は私の武器」の少し臆病な女の子
「負のスパイラルは1月のお試し受験から始まりました」
毎年受験シーズンになると、当時の途方に暮れた切ない気持ちがよみがえるというのは、少し臆病であがり症の女の子(現在・高校2年生)と中学受験を乗り越えた、お母さんのお話です。
都心に住むKちゃんは、小学3年生から大手進学塾に入り、猛勉強をするわけではないけれど勉強を毛嫌いするわけでもない、出された宿題をとりあえずこなす、いわゆる普通の女の子でした。
入塾当初、国語を担当したベテラン先生から「君は国語がよくできるね、本が好きなのかな」と声をかけてもらったことがきっかけで、「国語は私の武器だ」とひそかな自負を持ちながら、クラス替え試験や模試で国語だけは好成績をキープしていたそう。
けれども6年生の12月、受験校を確定し日程を組み始めた頃、ようやく受験がリアルになったようで、過去問の出来にイライラしたり、やけに気弱になったりと少し情緒が不安定になっているようでした。もともと、度胸の据わったタイプではなかったし、ピアノの発表会では緊張しすぎて何度もミスをするようなこともあったので、1月のお試し受験では確実に合格をもらって、自信をつけて2月の本番に挑む作戦を選びました。
偏差値で10以上余裕のある学校を選んだつもりが……まさかの不合格!
「1月のお試し受験は、余裕で合格をもらえるだろうという学校を選んだため、不合格の文字を見たとき、何が起きたのか把握できませんでした」(Kちゃんのお母さん)
合格確実と思っていた学校の不合格という番狂わせに、親のほうが子ども以上に動揺していたかもしれません。初めての受験会場で、Kちゃんは緊張のあまり、国語の文章を読んでも情景が頭に浮かんでこないことに「どうしよう、どうしよう」と軽くパニックになったよう。得意科目でつまずいたダメージは深く、不合格に泣く我が子に言葉では「大丈夫! 本番はこれから!」と励ましたものの、親も不安で押しつぶされそうでした。
次のページへついに2月1日へ