英語学習は、どうしている?
――狩野さんは小学6年生から高校2年生までアメリカで過ごされ、英語が堪能です。お子さんの英語学習はどのように?
英語は全然です! 読み聞かせもしていませんし、英会話スクールにも通わせていません。漢字と同じ遊び感覚で、色とか数とか、ちょっと知っているといいと思う単語を教えているくらいかな。たとえば「黄色はイエローって言うんだよ」と教えて、一緒にイエローのものを探すとか、保育園に行くまでの自転車で「赤は英語でなんて言うでしょう?」みたいにクイズを出してみたり。
ただ、英語も大切ですが、いまやりたいなと思っているのは、美しい日本語を子どもたちに読んであげること。私は、齋藤孝さんの『声に出して読みたい日本語』という本が大好きなんです。「春はあけぼの」とか「少年老い易く学成り難し」とか、そういった言葉をたくさん教えてあげたいなと思っていますね。すぐに役立つことはないのかもしれないけれど、今後の人生で役立つかもしれない。大人になって、覚えておいてよかったと思える日がきっと来ると思うんです。私は祖母から教えてもらっていて、いまそれを実感していますから。
習い事はピアノだけ。家族で過ごす時間が最優先
――習い事についてはいかがですか。
習い事はピアノだけですね。やりたいと言っていることは、基本的にはやらせてあげたいけれど、送り迎えを考えると一つが精いっぱい。習い事を休みの日に二つ、三つ入れたりされる人もいますが、うちは夫が週末はレースでいないことも多いので、たまの休みの日は家族で過ごすことを優先したいんです。習い事は早いうちから始めたほうがいいという意見もありますが、私たちは逆に「いましかない時間を家族と過ごさないでどうする!」って思っちゃう。
私の場合、特にアメリカに住んでいたときは、高校まで親が送り迎えをするのが普通だったので、必然的に親と会話をする時間が多かった。夫は夫で、小さいころから週末のレースには家族みんなで行っていたみたいです。お互いそんな環境で育ってきたので、家族で一緒に過ごすことを一番に考えるのかもしれません。子どもたちも大きくなるにつれて、家族以外の世界も広がっていくわけだし。それを考えるとすでに寂しく感じますけどね。
――家族を大切に思う気持ちが伝わってきます。最後に、狩野さんご自身として今後やっていきたいことや、夢を教えてください。
英語の勉強ですかね。昨年末に『LIFE SHIFT』の著者であるリンダ・グラットンさんに取材する機会があったんですが、まったく言葉が出てこなかったんですよ。インタビュー中に聞きたいことがあっても、単語が思い浮かばず、英語にブランクがあることを実感しました。
振り返ると、これまでも人生のなかで試されていると感じる時期がたまにあるんです。何か難題にぶつかって、自分ができなかったり、対応できなかったりしたときに「お前どうするんだ?」と言われているようで。
ただ、そのときに行動を起こすと、何年か後に「あのとき頑張ってよかったな」と思うことが結構あるんですよ。なので、今年は英語をもう少し磨きたいなと思っています。
(取材・文/稲垣飛カ里)