近視になってからは、眼鏡は積極的にかけたほうがいいのだとか。

「眼鏡をかけると近視が進むという話もありますが、医学的な根拠はありません。眼鏡をかけずにいると、目を細めたり、画面に近づいて見たりすることが癖になり、眼鏡をかけてからも目つきや姿勢が戻らないことも。必ず視力に合った眼鏡を使用しましょう」

少しでも近視の進行を遅らせるには

(1)遠くを見る時間を習慣的に作る

「漁業など、遠くを見る職業の人は近視になりにくいことが分かっています」と有田先生。普段、近くを見ることの多い子どもは、1日に何度か遠くを見る時間を作り、毎日の習慣にすることが大切です。

(2)眼鏡は早めに。度数選びに注意

「近視になったら、早めに眼鏡をかけてください。矯正視力は1.0くらいが目に合っているでしょう。最初から1.5などと強く矯正すると、遠くまで見えすぎて目や脳が疲れてしまいます」(有田先生)

(3)親子で疲れ目を放置しない

「親御さんがスマホなどを見る時間が長いと、子どももそうなりがち。親子で目が疲れる生活を改めましょう」(有田先生)

ドライアイを未然に防ぐ「予防眼科」の広まり

「あまり知られていませんが、涙には水分のほか『マイバム』という脂も含まれています。子どもの場合、水分は足りていても、脂が足りないことでドライアイになる傾向があります」

 と有田先生は語ります。ドライアイというと、目の疲れや乾きなどの症状が思い浮かびますが、それだけではありません。

「だんだん目を開けていることがつらくなり、目薬が手放せなくなります。さらに進行すると、涙が足りないために角膜が混濁していきます。視力も下がり、最悪の場合は眼鏡をかけてもよく見えなくなってしまいます」

 取り返しのつかないことになる前に、日ごろの生活環境を改めたいところです。

「本来、涙の中の脂は体温で溶けてサラサラですが、運動不足や食事、睡眠などの影響で体温が低いと、マイボーム腺が詰まってしまいます。そのため、目の周辺を温めたり、休めたりして脂の分泌を促す習慣が非常に大事です。最近は、目の不調を未然に防ぐ『予防眼科』という考え方が広がってきました。ぜひ、家庭で取り組んでください」

(取材・文/越膳綾子)

※「AERA with Kids 2023年秋号」から抜粋。誌面では、デジタル眼精疲労の予防法などもご紹介しています。

有田玲子さん
AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2023年 秋号 [雑誌]

朝日新聞出版

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2023年 秋号 [雑誌]
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越膳綾子
ライター 越膳綾子

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