ここ数年、教育や子育ての場面は「性教育」ブーム。性教育にまつわる子ども向けの本も数多く登場しており、識者たちのYouTubeやSNSなどによる発信も活発だ。でも、家庭での性教育は「いつ、どんなことから」始めたらいいのか、迷う人も多いのではないだろうか。子どもたちやその親に向けて性教育のセミナーを行う公認心理師・臨床心理士の戸田さやかさんと、助産師・看護師の二宮恵理佳さんに聞いてみた。

MENU ■親子のくすぐりっこ、子どもが「やめて!」と言ったらどうする? ■「NO、GO、TELL」の大切さを、日常生活の中から積み重ねる ■自分の子どもには、「きちんと知っておいてほしい」という親の気持ち

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■親子のくすぐりっこ、子どもが「やめて!」と言ったらどうする?

 からだの部位を覚えたり、トイレットトレーニングを始めたりする時期から、子どもは自分や他者のからだや心に興味や関心をもつようになる。そこで、「2歳くらいから」生活の中で少しずつ性教育を意識することを推奨する専門家は多い。「2歳なんて、まだことばの理解も難しいのに、どうやって!?」と思うかもしれない。でも、たとえば小さな子どもといっしょにお風呂に入ったときに、からだの部位の名称を教えたり、子どもの疑問に答えたり。からだについて親子で話すことは、立派な性教育だ。

「『性教育』は、『教育』ということばが入っているので、親が勉強のように性を『教えなくてはいけない』というイメージを抱いてしまいがちです。でも、『子どもと一緒に考えていく、正解を探していく』と考えてみると、ハードルがグンと下がるのではないでしょうか」と話すのは、妊活や不妊治療のサポートを行い、子どもや親向けの性教育セミナーも実施している「ファミワン」所属の公認心理師・臨床心理士の戸田さんだ。

 未就学児は、性に対する偏見や、社会・文化に根付いた価値判断もなにももっていない状態。「この時期に『あなたも私も、尊重されるべきひとりの人間なんだよ』ということを、親子でじっくり共有していく。これが、未就学児のうちに性教育を行う意義のひとつにあると思うのです」(戸田さん)

 だからこそ、性教育は学校などの教育機関だけでなく、家庭で意識することが大切なのだ。

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三宅智佳
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