思わず長男と顔を見合わせて笑ってしまいました。お父さん、猛暑のなか子どものために本当にお疲れ様です。ほんの少し前までの私も、お父さんとまったく同じでした。

 実は私も、非日常体験や初めて触れる出来事から何か学びにつながるようにとか、何か子どもが疑問を持ったら一緒に探究しようとか……いちいち子どもの反応に期待して投げかけてはうっす~い反応にがっかり、の繰り返し。〝アクティブ・ラーニングを誘導する〟という本末転倒に陥って勝手に疲れていました。

 転機は突然訪れました。

 わが家は友人家族と毎年恒例で夏休みに行っている川があります。水もまわりの自然もきれいで最高に癒されるスポットなんですが、水鉄砲合戦や魚を追ったりするのに飽きると子どもたちが始めるのが「水切り」。

 小石を拾っては水の上を跳ねさせる遊び、誰もがやったことありますよね? 男子たちは水切りがやたらに上手い友だちのお父さんの石選びや投げるフォームを見て真似て、どんどん上手くなっていきます。

 よく飛びそうな石は、手でつかんだときの厚みや重さで判断しているもよう。一方、早々に諦めた私は、河原で石を並べて子どもたちの顔を作っていました。この川の石は平たくて細長い小石が多いから顔のパーツが細かく作りやすいな~、なんてぼんやり思ったときでした。

「今ここで無理に学ぶ必要なくない?」

 と突如、自分のなかに親主導のアクティブ・ラーニング終了のお知らせが。大人の自分ですら気づきがあっても(この川の石はなぜこの形になったんだろう?)(石の種類は?)(上流は?下流はどんな形?)などと深堀りしようとまでは思わない。ましてや水切りに夢中な子どもたちは疑問など感じる間もなく勝手にアクティブ・ラーニングしている。

 あぁそういえば、とウン十年前の子ども時代が甦りました。見えるのは、道の端っこにある石の棒の前で立ちすくむ小学生の私です。父は控えめに言って愛情表現ドヘタな人です(現在進行形)。そんな父なりに大人主体の家族旅行の中に少しでも一人娘を喜ばす要素を取り入れようとしたのでしょう。当時から歴史好きだった私のために何かと史跡を旅程に含めてくれるのですが、散々歩いてたどり着いた場所には「ほにゃらら城郭跡」だの「なんちゃら宿場跡」などと刻まれた石碑がポツンと立っているだけ、ということがありました。

NEXT長男の反応に納得いかなかったのは…
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