子どもは親に好かれたいからこそ、テストの点数が悪くても言えないことがあるんです。非認知能力の観点から言えば、まずは「親が自己開示する」ことが大事です。自己開示とは、ありのままの自分をさらけ出すこと。たとえば、親が「今日仕事でこんなミスをして」などと仕事や家事の失敗談を話す。「失敗しても親に嫌われない」という心理的安全性が確保されたら、次第に子どももできないことを話せる環境ができあがっていきます。
意識的に受験を忘れる時間を作ろう
さて、四六時中、受験のことを考えていたら煮詰まっちゃいますよね。そういうときはあえて「受験を忘れる時間を持つ」ことが大事なんです。私自身も、仕事が忙しいときは、毎朝のウォーキングだけでは仕事を忘れられない。そこであえて時間をつくって映画を見にいったのですが、張りつめていた力がふっと抜けて、自分を俯瞰してみられたことがあります。あるいは、自分のためにいかに千円をぜいたくに使うかを考えてみる。大事な仕事を頑張ったごほうびに、1粒千円近い高級いちごを買いました(笑)。通常では考えられないぜいたく! 中学受験であれば、受験とは関係のない友人と話すのもおすすめです。
子どもに意識が向かないよう、いかに受験から気をそらすか。一つの視点しかないと柔軟性がなくなって、「失敗したら人生終わり」となる。だから、自分を受験の世界から一度外してあげることが大事だと思います。
中学受験はつらいこともあるけれど、良い挑戦です。親子で非認知能力をアップさせて成長できたら、合否にかかわらず最高に幸せでワクワクを感じる始まりが待っていると思います。
(取材・文/AERA with Kids編集部)
※「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から。

朝日新聞出版

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