また、子どもが塾の宿題をやり始めるのに時間がかかる、前と同じところで間違える、テストの点数が下がってしまうなど、受験では親がこれまで以上にイライラする場面も増えがちです。そういうときに子どもに感情のままに言葉をぶつけてしまいそうになること、ありますよね。そこで必要になるのが「自制心」です。自制心とはぐっと我慢する力ではなく、先を見越してその場でどう対応すればよりよい状況にできるのかを考え、自分の感情をコントロールする力のことです。

 どうすれば子どもに非認知能力が身につくか聞かれますが、親が手本を見せることが大事。責任ある意思決定をして、やりたくなくてもやるべきときにやるとはどういうことか。自分を大事にするとは、他者を思いやるとはどういうことか。親が言葉で説明しても、それを子どもが頭で理解して実践できるわけではない。知っていることとやることは別。親が率先してやり方を見せていきましょう。

「子どもを壊す受験にしない」をゴールに

 受験のゴールをどこに定めるのか。「子どもの幸せがゴール」といっても、合格不合格という結果が気になるのは仕方のないことです。当然ながら合格がゴールになりますが、家庭では「子どもを壊さない」「自身の成長を感じられる」といったこともプラスすることが大切だと思っています。なぜなら、「合格=成功、不合格=失敗」ととらえてほしくないから。合格のために叱られ続け、不合格だから失敗だと言われたら、子どもの心は壊れてしまいかねません。それでは子どもの幸せを願って始めた受験も本末転倒です。

 そもそも点数は自分ではコントロールできないもの。採点側の判断、出される問題、その日の体調などいろんな要素が絡んでくる。それを目標にしても、自力だけではコントロールできないものです。

 コーチングでは「自力でできること」を目標にしています。結果ではなくプロセス重視です。自力で達成できる目標を立てて、「今日はここまでやる」と決めて達成する。子どもが一生懸命やっていることを親は認める。できなかったことも否定はせず、親子で相談しながら問題解決をしていく。自己肯定感が育まれ、やり抜いた自分に対して「自分はやればできる」という自己効力感も生まれてきます。

NEXT親に好かれたいからこそ、言えないことがある
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