非認知能力とは、『数値化できる能力ではない、「人間力」のこと』。非認知能力を育むパイオニアとして知られるボーク重子さんに「なぜ中学受験で非認知能力が大事なのか」を聞きました。現在発売中の「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。
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親の自己肯定感や自制心がカギになる
テストの点数や偏差値など数値で測れる「認知能力」が求められる場面の多い中学受験で、なぜ「非認知能力」が大事なのか、と思うかもしれません。そもそも非認知能力とは、IQや従来の学力(認知能力)のように数値化できる能力ではない、「人間力」のこと。自己肯定感、問題解決力に必要な柔軟性ややり抜く力、主体性、心の回復力、自制心、共感力などテストの点数では測れない力を指しています。中学受験のような過酷な環境を乗り切るためには、子どもだけでなく親の非認知能力こそが大事だと考えています。
私は2018年に『世界最高の子育て』を出版して以来、多くの人に非認知能力育児の大切さを伝えてきました。中学受験について相談を受けることがたびたびありますが、「中学受験こそ親子ともに非認知能力を身につける絶好のチャンス」と伝えています。子ども側から考えると、目標を定めてやることを洗い出す、ゲームをやりたくても先を見越してやるべき勉強をやり抜く、ゴールに向かって問題解決をしながら道を切り開いていく……。これらの力は非認知能力そのものですよね。
一方で親側もテストの点数や合格・不合格、周囲の言葉に振り回されないための自己肯定感、後悔するようなことを子どもに言わないための自制心などが大切になってきます。
たとえば、周りよりもわが子の偏差値が低い、塾のクラスが下がった、「あのレベルの学校を受けるなんて」とバカにされた、「受験を途中でやめる」選択をして周囲から何か言われたとき……。「でも、うちはこうだから」「周りからなんと言われようと愛するわが子であることに変わりはないから」と思えることは大切ですよね。自分は大丈夫、自分のままでいいと思えるのが「自己肯定感」です。
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