矢萩:娘さんに「じゃあ、辞めようか」と言えればお母さん自身も楽になるのに、と言う感じですよね(笑)。

■待っているだけでは「やる気」は出てこない

安浪:あともう一つ。塾の先生に「やる気はある時期になればみんな出てくる」と言われたとのことですが、単に待っているだけでは出てきません。もちろんやる気が出てくる子もいますが、みんながそうなるとは限らない。塾の先生は親を安心させるために言っているのだろうけど。

矢萩:そう、出てこない。やる気って勉強する意味を感じることができるかどうかの話だから。「面白い」があれば当然勉強する意味を感じられる。将来こういうことに役立ちそうかな、でもいいし、もちろんこの学校に行きたい、でもいいんですけど。勉強に何らかの意味と価値を感じるようになってはじめて、やる気は出てくるものです。成長していけば、抽象的な理解力が出てきたり、ある程度分かるようになってきたりするんですけれど、それとやる気は連動していないので、何らかの方法で火をつける必要はありますね。

安浪:ご質問者さんのようなケースの場合は、私自身が子どもの目線に立って、いろいろな方法を提案してあげますね。「辞めてもいいけれど、ここまでやってきたのにちょっともったいなくない?」とか「これくらいだったら続けられそうかな?」とか。そうやって話していくと、本人も「確かにここまでやってきたのにちょっともったいないとは正直思う」「それぐらいの量だったら続けられる」と言い始めるんですよね。

矢萩:わかります。けっして理想的ではないのですが、勉強をやる意味って、「理屈は分からないけれど、やっておいたほうが得するんでしょ」とか「やらないと損するんでしょ」というような受け入れ方や、諦めからのほうが入りやすいケースもあるかもしれない。それが必ずしも「やる気」というのかどうかわかりませんが。でもとにかく自分で決めることが大事。

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