ここにも家にこもる時間が増えたコロナの影響が見てとれる。家族にまつわる愚痴は、まるでホームドラマを見ているよう。自分に言われているようで、読みながら「あっ、ごめんなさい!」と思わず口走ってしまう。
これはつらい愚痴。誰にも言えないことを吐き出せるのも、愚痴短冊のよさ。
なぜか40代女性会社員の日常のリアルを映し出す愚痴が多い。48才が多いが、筆致から別な人のようだ。歯に衣着せぬ直言に、またまた「すみません!」と言ってしまいそうになる。
物価高やお金の不安を訴える愚痴は、世相をそのまま反映している。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、愚痴ではなく、平和を願う短冊もちらほら。
「コロナで人と会えず複雑な思いをもっている人が、ありのままの気持ちを表現できる機会になればと」と、厳念寺副住職の菅原耀(よう)さん(31歳)は愚痴供養祭を始めたきっかけを語る。
大学の社会人向け講座でグリーフケアを学んだ仲間たちと、昨年6月、ZOOMで雑談中に思いついたという。
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