矢萩:ご相談の中にあるように、公立校のような適性検査型入試や、新タイプ入試を行っている私立を受験したり、特待生制度がある私立を狙ったりする、という手はあるかもしれません。ただ、気をつけなければいけないのは、特待は3年間でははく、普通は1年なので、成績上位をキープし続けなければなりません。

安浪: むしろ、学級委員タイプで人前でしゃべるのが好き、作文も得意とのことなので、地元の公立に行ったら内申点が稼げそうですし、高校受験では有利になるんじゃないかと思います。

矢萩:そうですね。結局公立に行っても私立に行っても、大学受験をするなら予備校などを活用するのが普通ですしね。

安浪:いまの時期、お嬢さんに現実的なアドバイスをするならば、もし一般的な私立にも憧れて受験したいと思うならば、これから残り数カ月、今までの何倍も勉強しないとダメですよ、ってことです。いまの学力で受かるところだったらどこでもいい、というなら別ですが、私立型の入試では中堅校でも相応の知識を問われます。もちろん、国語か算数の1科入試、あるいは国算2科入試もありますが、中学に入ると周囲は理科や社会の知識を持って入ってきていて、中間や期末テストはその知識がある前提で出題されます。中学に入って、せっかく部活や学校生活を楽しみたいのに、その差を埋めるために勉強一色というのもつらいものがあるかな、と……。だから、本気で私立を受けたいと思うならば、相当覚悟して勉強を追加する必要がありますね。

矢萩:「ここの学校がダメだったらここでいいや」じゃなくって「ここに行きたい」という意思があるなら、それぐらいの覚悟も必要かもしれません。

(構成/教育エディター・江口祐子)

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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