「最近、反抗期!」「いつもイライラしている」……。小4くらいから少しずつ始まるといわれるプレ思春期。なぜ不機嫌なの? どうして親に突っかかるの? 早稲田大学教育学部教授・本田恵子先生によると、10歳前後の子どもたちは、「大きな変化の渦中で必死に出口を探している状態」だそう。プレ思春期の子どもの脳や心の状況について、本田先生に聞きました。現在発売中の「AERA with Kids 2022年秋号」(朝日新聞出版)から一部抜粋して紹介します。
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なんだか最近、無愛想! そんな子どもの変化は、プレ思春期の兆しかもしれません。「この時期、子どもはさまざまな葛藤を抱えています」と話すのは、子どもの脳と心の発達に詳しい本田恵子先生です。
「9歳ごろまでに、言語や論理といった、世の中を理解するための脳の機能が育ちます。でも、10歳くらいまでは、達成したいことのイメージややる気はあっても、方法を考えて行動したり、思ったことを言葉にしたりするには、未熟なのです」
例えば、朝の係活動で8時に集合とわかっていても「いつもより20分早く家を出る」などという行動の逆算が難しかったり、なにかを説明したくても、イメージ通りにうまく伝えられなかったり。
さらに毎日忙しくなり、やることも倍増!
「一方で、自我も育つ時期。“認めてほしい”という気持ちが強くなるので、できていないところを指摘されると、自尊心が傷つき反発してしまうのです」
自分でももどかしいのに、「もっと早く起きなきゃダメでしょ」「ちゃんとわかるように説明して」などと指摘されるから、「もういいよ!」と投げ出したり黙り込んだり。これが大人の目には「反抗的」と映るわけです。
「11歳くらいになると、客観的に自分をみる力、メタ認知が育ちます。脳もほぼ完成し、物事を効率的に進める、自分に最適な方法を考えて行動ができるようになります」
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