ちなみに、HPVワクチンは、子宮頸がんだけでなく咽頭がんや口腔がん、肛門がんや陰茎がんなど6つのがんと、性感染症の尖圭コンジローマの予防にも効果があります。そのため、海外では男性も接種している国もあり、日本でも「男性にも接種を!」という声が上がり始めているワクチンなのです。

●「低用量ピル」を賢く使って、快適に過ごそう

 先ほど、中学生女子の「生理の悩み」について触れました。ほかにも、「生理痛がひどい」といった「PMS」(月経前症候群)に関する悩みもたくさんあります。生理になるとおなかや頭が痛くなる、だるい、気力が落ちるといった、さまざまな症状があらわれるのです。

 講座では「生理痛はがまんせずに薬を飲もう!」と伝えています。自分に合った薬や使いやすい生理用品を見つけたり、からだを冷やしすぎないようにしたりと日常の工夫もぜひ、試してみてください。

 また、PMSケアのひとつとして「低用量ピル」はとても有効です。

 この低用量ピルが日本で使えるようになったのは、1999年です。今の高校生たちが生まれる少し前のことですね。そのときは、残念ながら「ピル=遊びたい女性が使う薬」という目で見られてしまいました。ですから、当時は女性が低用量ピルを選択することを躊躇してしまったのです。

 でも、今はまったくちがいます。低用量ピルは、避妊だけではなく、生理痛や経血量を緩和できます。それだけではありません。たとえば大切な試験や試合の日。それまでの努力を100%発揮できるよう、生理の周期をずらすこともできるのです。この常識が一般的になり、低用量ピルで上手に生理をコントロールする中高生の女の子たちも増えています。こちらも、産婦人科や婦人科で処方してもらえるので、医師とよく相談しましょう。複数の選択肢から、悩みに応じたピルを処方してくれるクリニックがいいですね。

 生理は、もっともっと快適に過ごせます。ところが、毎回の不調をがまんしている子どももたくさんいるのが現状です。保護者は注意して見てあげて、がまんさせず、見逃さずに、ひどいようならぜひ医師に相談してください。

NEXT産婦人科や婦人科は、「心の支え」に
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