私はママ友を否定するわけではありませんが、ややもすれば、ママ友をはじめ周囲の意見は、子どもの将来や家族の関係にまで望まない大きな影響を及ぼす可能性があります。妻が言うように、「無理に友達を作る」必要なんてありません。

 それよりむしろ、孔子が、君子について問われた際に「己を脩めて以(も)って敬す」(憲問第十四)

 と言ったように、一人ひとりが「自分を修養する力」を身につけることのほうがずっと大切です。

「修養」というと難しく聞こえますが、それは、「自分で考える力」です。人にとって最も大切なことは、自分が納得する生き方をどのように選択し、どのようにして実現するか。そのためには「これでいいのか?」「自分は正しいのか?」と、慎み深く自分自身に問い続けていくしかありません。ママ友に相談をするにしても、最終的には、一人ひとりが自分で考えて、自分で処理しなくてはいけないのです。

 孔子は「人としてのあるべき姿」をこうも表現しています。

「君子は坦(たん)として蕩蕩(とうとう)。小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)」(述而第七)

 訳すと、「人の上に立つ立派な人は、心がおだやかでのびのびとしている。君子以外の人は永遠に憂いがなくならず、いつもこせこせしている」という意味です。

 相談内容からすると、妻は周囲に振り回されずに、自分で選択した道を心おだやかに、のびのびと進んでいるのではないでしょうか。こうした母親の姿を見ながら成長する娘さんは、なんと幸せなことでしょう!

 さて、もし相談者さんが、娘さんが周囲から孤立しないことを望んでいらっしゃるとすれば、相談者さん自身が積極的に幼稚園の送り迎えなどをしてみたらいいと思います。そして、娘の友達や、その親御さんと顔見知りになって「いつも遊んでくれてありがとう。今度家に遊びにおいで」などと、声をかけてみてはいかがでしょうか?

 妻が「幼稚園のボランティア活動やママ友同士の集まりにも一切参加しない」と書いていますが、もし、こうした活動に参加したほうがいいと、相談者さんがお考えであれば、親として自ら積極的にやっていけばいいのです。なんでも妻に押しつけるのだけはやめましょう。

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