高濱:お父さんはどうでしたか。

石山:父は、サラリーマンを辞めたあと、世界を放浪して作家と音楽家に転身したんです。家には世代も国も多様な人たちがよく泊まっていたし、父と旅行に行けば、国内でも海外でもホテルではなく友達の家に泊まることができました。お金がなくても「つながり」で世界は完結できるというのが原体験としてあります。

高濱:なるほど。昔からシェアにあふれた世界で育ったんですね。こういう発想や実行力は、それなりの経験がないとなかなかできないと思います。たくさんの大人と過ごした、たくさんの経験が、今の石山さんをつくっているんですね。

石山:そうですね。うちの両親は私が12歳のときに離婚しているんですが、そのときも、それぞれのパートナーが私とも仲が良かったので、家族が増えてうれしいなという感じでした(笑)。

高濱:あっぱれ。日本の家族じゃないみたい。12歳といえば多感な時期だと思うけど、寂しくなかったんですか。

石山:まったく寂しくなかったわけではないです。家では幸せだったけれど、学校に行くと「離婚したんだよね」と言われて、レッテルを貼られる違和感を覚えた記憶はあります。

高濱:ある種なるべくしてなったような背景があるから、ふつうのおかあさんたちはとてもまねできないって思ってしまいがちだけど、どうですか、シェアに関する周囲の反応は。

石山:それが意外と共感してくれるのは、女性が多いんです。ママも多いですね。今は実践していなくても、シェアの良さをわかってくれます。むしろバブル期を謳歌していた世代、とくに男性のほうが、すんなりとは入っていけないみたい。

高濱:わかるわかる! 男性は共感に価値を求めるのが苦手ですからね(笑)。でも女性は共感でつながれる。

石山:とりあえず、なんでも所有するのではなく、まずは利用することから始めてみればいいんじゃないでしょうか。つながることで、人との垣根は確実に下がります。信頼できる境界線が広がれば、それだけできることがたくさん増えていくと思いますよ。

高濱:子育ても自分だけで背負わずに、垣根を越えて隣のおばちゃんやママ友同士でまずはシェアしてみる。家族の一員のように対話してみる。それだけでグンとラクになりますからね。

(構成・文/篠原麻子)

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2019年 夏号 [雑誌]

高濱正伸,安浪京子

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篠原麻子
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