大量生産・大量消費がもてはやされた昭和・平成を経て、令和となった今は共同所有・共同利用の時代だといわれています。「AERA with Kids夏号」では、そんな「シェアライフ」の普及につとめる石山アンジュさんに花まる学習会代表の高濱正伸さんがインタビュー。シェアすることで生まれる豊かさについて語り合いました。
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高濱:石山さんが事務局長を務めている「シェアリングエコノミー協会」は、3年前にできたばかりなんですよね。
石山:はい。今は大企業も参入し始め、協会会員も約300社に増えました。「シェア」という概念が、新たなビジネスとして日本でも普及し始めたと実感します。
高濱:シェアリングエコノミーの概念を、わかりやすく説明してもらえますか。
石山:これまでの経済は、企業が提供するモノやサービスを私たち消費者が買い、所有し、使うことで成り立っていました。これに対して、シェアリングエコノミーは、個人が持っているモノや時間、スペース、スキルなどが商品になるので、私たち個人がサービスの提供者にも利用者にもなれるんです。たとえば、カーシェアリング。車も駐車場もみんなで共有して必要なときだけ利用するサービスですね。個人間のフリマも、日常的なものになっています。
高濱:シェアリングエコノミーの普及に欠かせないのが、インターネット。
石山:はい。インターネットによって、提供したい人と必要としている人がつながれるようになったし、位置情報の確認や決済も個人間でスムーズにできるようになったことはとても大きいです。でも、シェアという概念自体は日本に昔からありましたよね。当時はむしろモノが圧倒的になかった時代だったからこそ、シェアによって庶民の暮らしは成り立っていたと思うんです。私がよくたとえに使うのは、隣近所でのおしょうゆの貸し借りです。農作業や雪かきなどもそうです。昔は地縁による信頼に基づいていたものが、インターネットによって向こう三軒両隣からワールドワイドになった。
次のページへものがあふれたことで、地域コミュニティーが崩壊…