■午後入試の導入で併願校が増加
今年は併願校が増えたのも特徴。サピックス教育情報センター本部長の広野雅明さんはこう話す。
「午後入試が増えたのが一番の要因で、本塾の塾生も平均8校に出願しています。午後入試はもともと女子校や共学校に多かったのですが、男子校にも広がってきました。人気の高い学校が設定したことが受験者数の増加につながりました」
女子校では品川女子学院(品川区)、普連土学園(港区)、東京女学館(渋谷区)、実践女子(渋谷区)、男子校では巣鴨(豊島区)、世田谷学園(世田谷区)、高輪(港区)などが導入している。
午後入試の導入により受験機会が増えたことで、2月1、2日の前半戦で合格を決める受験生が増えているという。その分、後半の入試日程では合格者数が絞られ、合格がより厳しくなった。広野さんは「安心して2月受験に臨むために、1月にしっかりと合格をとっておくことが肝心」と、アドバイスしている。
■23年は別学の志願者増の傾向が
ここ数年は共学校人気が続いていたが、先述のように今年は男子校、女子校の増加が目立った。声の教育社常務取締役・後藤和浩さんは、「特に都内の男子校はほとんどの学校の倍率が上がり、安全校を設定できない状況でした。今後も男子校の人気は続きそうです。志望校を広げて、共学も視野に入れたほうがいい」と、アドバイスする。
安田教育研究所の調査によると、1月17日時点の学校種ごとの出願率(前年の最終出願者数に対してどのくらい出願校があったか)は、東京の男子校が63.5%、女子校が62.5%に対して共学校は57.9%、神奈川は男子校63.5%、女子校74.8%に対して共学校59.1%となっており、別学のほうが早く出願する傾向がうかがえる。また、代表の安田理さんは受験生の動向をこう見る。
「男子校・女子校は伝統校が多く、独自の校風、宗教などがあるので、こだわりのある家庭は早々に出願する。一方の共学の人気校は次世代に向けた教育を標ぼうしており、似ている学校が多い。そのため難易度や倍率で選ぶ傾向があり、ぎりぎりまで出願を控えているのではないか」
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