トランプ氏は日本に対する貿易赤字に強い不満を示しながら、貿易交渉について「7月の選挙後まで待つ」という。国民の知らないところで、日米に「密約」があるのではないか。野党からはそんな疑念の声が上がる。プーチン氏との間では、先の会談で北方領土問題を決着させようとした政権のシナリオが崩れ、交渉は暗礁に乗り上げている。
内政・外交の難題から目をそらし、きちんと説明もしない。そんな政治のツケは、いつか国民に跳ね返ってくる。こうした政権の姿勢そのものが、参院選で問われるべきである。
●押さえておきたい参議院選挙のキホン
参議院ってどんなところ?
日本では、法律をつくる国会は、衆議院と参議院の二つの議会からなる「二院制」がとられている。衆議院議員の任期は4年で、途中で解散して選挙をすることもあるため、国民の意思が反映されやすい。一方、参議院は議員の任期が6年と長く解散もない。じっくりと審議をして、衆議院の行きすぎを抑える役目がある。
参院選はどうやって行われる?
衆院選は都道府県より狭い小選挙区と、全国を11のブロックに分けた比例代表で行われる。一方、参院選は3年ごとに議席の半数を選び直す。選び方は2種類で、全国45の選挙区で一選挙区につき1~6人を選ぶ「選挙区制」と、全国を一つのブロックとし、有権者が政党名か候補者名のどちらかを投票する「比例代表制」がある。今回の議席数は改選124議席で、選挙区で74議席、比例代表区で50議席となる。
与党・野党って?
与党とは現在、政権を握っている党で、自由民主党・公明党。野党はそれ以外の党で、立憲民主党、国民民主党、日本共産党など多数の党がある。今回の選挙では、与党は124議席の過半数となる63議席を目指す。一方、野党5党派は与党に対抗するため、全国に32ある「1人区」のすべてで候補者を一本化してのぞむ。(解説/朝日新聞論説委員・内田 晃)
※月刊ジュニアエラ 2019年8月号より