疲れやすい、イライラする、やる気がない、落ち着きがない……。病気ではないけれど、何となく気になる子どもの不調があるなら、漢方や薬膳の考え方を取り入れるのも一つの手。薬膳の食養生は、親自身の体調管理にも役立ちます。現代栄養学にも薬膳や漢方にも詳しい管理栄養士の植木もも子先生に教えていただきました。
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「小学生の食欲や成長度合いにはかなり個人差があります。だからこそ、その子の体質に合わせた食養生を取り入れて、効果的に食べる考え方が必要なんです。薬膳の知恵を使えば、心身のアンバランスも治すことができるんですよ」(植木先生)
漢方では大人の体質は7~8つの分けて考えますが、今回、植木先生に成長期の子どもに多い体質に合わせ、4つのタイプに分けてもらいました。複数の特徴を兼ね備えている場合もあるので、それぞれ参考にしてください。
1.気虚(ききょ)タイプ
食が細くてやせ気味、疲れやすい子が多い。これは、胃腸が弱く、栄養の消化吸収がうまくいっていない状態です。
気は生命エネルギーの源で、全身をめぐり、血や水を送り届けることで、各種臓器を動かし免疫力を高めます。この気をつくり、補充する場所が胃腸。胃腸は食べものを消化吸収し、全身に送るための栄養に変える大切な場所です。この気が不足しているときは、胃腸の機能が弱いか低下している、またはまだ十分成長しきれていないという状態であるといえます。気虚の子は、ほかにも好き嫌いが多い、体が小さい、体力がないといった傾向があります。
<おすすめの食事や生活>
〇無理に量を与えず、生ものや揚げものを避け、消化が良くて温かいものを、時間をかけて食べさせる。
×食材本来の甘みが体をいやすが、お菓子や砂糖の与えすぎはNG。運動不足や冷えにも注意。
2.気滞(きたい)タイプ
すぐにイライラする、逆に落ち込みやすい子に多い。これは、何かしらのストレスで、血のめぐりが滞っている状態です。
気の量は足りていても、ストレスなどで気がうまくめぐっていないと自律神経のバランスが崩れていきます。過食は、その代償として表れがち。消化能力はあっても、気がつまっていると食べたものがうまく下りずに、胸がつまったり、おなかにガスがたまりやすくなったりします。たまった気が上昇するとイライラし、反対に下がると落ち込んでしまう形で表れます。体に熱がたまりやすいのも特徴。口内炎は、胃に熱がたまっているサインです。
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