ちゃんと食べているようでも、成長期の子どもには足りていない栄養素が多いといいます。子どもは大人と比べて体は小さくても、体重1キログラムあたりで見ると、たんぱく質は1.5倍、鉄・カルシウムは2~3倍も必要なのだとか。 とくに鉄不足は、「貧血」として症状が現れると思われていますが、子どもの場合、「元気がない」「やる気がない」という症状として現れることも。『AERA with Kids』(朝日新聞出版)では、子どもの食事と栄養について取材しています。
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「鉄は、赤血球の中にあるヘモグロビンをつくります。
血液は酸素を全身の細胞に送り届けますが、酸素の運搬能力はヘモグロビンの量と比例します。鉄が不足するとヘモグロビンの量も減るため、各細胞が酸素不足になってさまざまな症状が出てきます。これが鉄欠乏性貧血。
小学生の貧血は、健康診断でも見落とされることが多いのですが、肌が青白い、疲れやすいといった比較的わかりやすい症状だけでなく、落ち着きがない、学力が伸びない傾向があるときも、鉄不足の可能性があります」こう話すのは、管理栄養士で、一般社団法人ラブテリ保健室公認カウンセラーの風間幸代さん。
鉄は、急激に背が伸びる成長期に大量に必要とされる栄養素です。
とくに女の子は生理によっても鉄が失われやすいので、より意識してとりたいところ。ところが鉄は、体内での吸収率が非常に低いという特徴があります。
ひじきやプルーン、納豆など植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」といって、体への吸収率はわずか3~5%程度。それに対して、レバーやまぐろ、かつお、牛赤身肉などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は約25%の吸収率になります。
それでも食べた量の4分の1しか吸収できないので、毎日食べることが大切です。ひじきやレバーは毎日食べることが難しくても、以下のような食材ならおやつや食事のときに手軽に加えることも可能。ぜひストックしておきましょう!
ドライプルーン
プルーン非ヘム鉄ですが、動物性たんぱくといっしょにとっても吸収率が上がるので、そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトに入れていただくのがおすすめ。
きなこ
大豆を粉砕したきな粉は、鉄のほか、たんぱく質や食物繊維も豊富な優秀所在。きなこ
餅にしていただくほか、汁ものに加えるだけで栄養補給できる。1日小さじ1杯ほどが目安。
あさり
グラムあたりの鉄含有率はレバー以上! むき身の缶詰や真空パックをストックしておけば、汁ものやパスタなどにすぐ加えられる。
のり
のりには「造血のビタミン」といわれている葉酸も豊富。ごはんだけでなく、肉や魚の切り身に巻いて食べるのもおすすめ。積極的に食べよう
『AERA with Kidsでは』そのほかにも、不足がちな栄養素と効果的な食べ方について紹介しています。ぜひ食事づくりの参考にしてみてください。(取材・文/篠原麻子)
高濱正伸,安浪京子