店には食材があふれ、冷蔵庫にはたくさんの食べものや飲みものが入っている現代ニッポン。ところが今、子どもの栄養や健康状態が悪化しているというショッキングな報告があるのです。『AERA with Kids夏号』(朝日新聞出版刊)では、成長期の子どもにとくに必要な栄養について取材しました。
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「子どもの平均身長は伸び悩み、昭和の親世代と比べて体力の低下が課題になっています。生活習慣病予備軍も増えているんですよ」と教えてくれたのは、一般社団法人ラブテリ代表理事で、食と母子の健康を長年研究している細川モモさん。実際、各自治体で任意で行われている「小児生活習慣病予防健診」では、小中学生の4、5人に1人の割合で、血糖値やコレステロール値などが要注意と出るそうです。
でもうちの子はちゃんと食べているし、見た目も元気そうだし、大丈夫だと思っていませんか?
今の子どもの食生活の一番の問題点は、食べるものが偏っていること。必要な栄養は足りていないのに、とりすぎると体に良くないものは過剰摂取気味なのです。
大人と違い、子どもは脳も体も未完成。「ただいま建築中」です。大人の食事は生命活動維持のためですが、子どもの食事は、体を大きくし、体の各パーツや機能をつくりあげていくための貴重な栄養供給源。伸び盛りの時期に必要な栄養が足りないと、心身や脳の成長に悪影響を及ぼします。
そこで、子どもの成長に必須なのに今足りていないものを選び抜いたのが、下で紹介する「五大キーワード」。何を食べたらいいの?と迷ったら、この五つの要素を思い浮かべてください。
≪子どもの体と脳を育むために知っておきたい 五大キーワード≫
1.筋肉をつくる「たんぱく質」
成長期の子どもに大切なのはまずこれ。たんぱく質は、人の体をつくる原料です。筋肉、骨、皮膚、臓器、血液など、体のあらゆるパーツをつくるため、成長期の子どもは量をしっかりとる必要があります。
たんぱく質が多く含まれる食材:肉、魚、大豆製品、卵、乳製品など
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