他には、謙虚なイメージのある偉人の本をたくさん読んだりもした。江戸時代後期に農村の復興に関わった農政家の二宮金次郎や、江戸時代中期の大名で、成し遂げた偉業から「名君」と呼ばれていた上杉鷹山、平成を代表する経営者の稲盛和夫さんの本はとても参考になったよ。

■「謙虚」の反対は何だろう?

 そもそも謙虚って何だろう? 優香さんはどんなことをイメージするかな。反対の言葉でいうと、「傲慢」が当てはまるよね。謙虚と傲慢っていうのをわかりやすく何かに例えられないか考えてみたんだけど、掃除とほこりの関係に似ているんじゃないかな、って思った。

 ほこりって毎日たまって、定期的に掃除しないとどんどん増えていってしまうよね。部屋や教室のすみにほこりの塊を見かけたことないかな? 傲慢な気持ちもほこりと一緒で、謙虚な気持ちを持ってしっかり掃除をしてあげないと、どんどん大きくなっていってしまうと思うんだ。

 立場が偉くなったり、物事がうまくいったりすると、掃除を怠りがちになってしまう。自分の代わりに「掃除しときますよ」っていう人が出てくることもある。そうなると、どんどん傲慢なほこりはたまって、「自分は偉い」って勘違いしていってしまうんだ。

「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」っていう、古くからの有名な言葉を知っているかな。稲は実るほど穂を垂れるのに対し、人間は地位が上になるほど態度が大きくなり、人に頭を下げたりしなくなるという意味で、教訓とも捉えられる言葉だ。こういう言葉が昔からあるってことは、傲慢さというものはどんな人間にも元から備わっているってことを暗に示しているんじゃないかな。

 よしおは傲慢な気持ちを持たないようにするために(自分で掃除をし続けるために)、日々「感謝すること」を心がけているよ。例えば、「宿題やったの?」と言われたときに「言ってくれて、ありがとう」って思えるかどうか。「うるさいな!」って思っちゃったとしても、その後でもいいから「ありがとう」って思えるようになるといいよね。言葉にできなくても、せめて心の中で思えるようにするところからスタートしよう。

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