「プーチン・ホットライン」に寄せられる質問は、医療や社会保障、宇宙開発、環境問題、人生相談まで幅広い。約4時間半にわたる生放送中、プーチン大統領はどんな質問にも真剣な表情で、時にはジョークも交えながら回答し、強いリーダーシップを発揮してみせた。
プーチン氏の人物像について、プーチン研究の第一人者として知られる政治学者の木村汎さんはこう語る。
「彼には確固とした政治イデオロギーや原理原則というものはありません。彼にあるのは、その時々の状況に即して、ロシア国民に喜ばれる政策のみといえるでしょう」
ロシアの愛国心の象徴ともいえるプーチン大統領は、今年3月の大統領選で77%近い得票率を得て圧勝。事実上、00年から24年まで、約四半世紀にわたる長期政権を築くことになる。
政権運営は一見安定しているように見える。しかし今、ロシアは国際原油価格の大暴落に端を発する原油安、ルーブル安、さらにクリミア併合やシリア空爆に抗議して欧米諸国が科す制裁という「経済の3重苦」を抱え、国民の生活はここ数年で急速に苦しくなってきている。国民の間でいま起きているのが「テレビvs.冷蔵庫」の闘いだという。
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