「もう実家に戻れない」中国の弾圧恐れる在日香港人 周庭ら収監、重ければ「懲役5年」も (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「もう実家に戻れない」中国の弾圧恐れる在日香港人 周庭ら収監、重ければ「懲役5年」も

今井一AERA#香港
11月23日、即日収監された周庭(アグネス・チョウ)(写真/gettyimages)

11月23日、即日収監された周庭(アグネス・チョウ)(写真/gettyimages)

 民主派を排除すべく、議員資格を剥奪するという愚行に走った香港行政府。23日には、民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)や黄之鋒(ジョシュア・ウォン)ら3人が昨年6月に参加したデモにおいて、参加者を扇動した罪で裁判所は有罪を宣告。即日収監した。刑期は最高5年になる可能性がある。一国二制度は消え失せたが、歴史をひもとけば「抑圧」のほころびが見える。AERA 2020年11月30日号の記事を紹介する。

【写真】周庭らと活動をともにし、23日に収監された若手活動家

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 香港中文大学、香港理工大学での学生と武装警察との壮絶な攻防。区議会議員選挙での民主派候補の圧勝(親中派候補の惨敗)。世界が注視した昨年11月のあの日々から1年が経過した。

 中国共産党とその傀儡(かいらい)行政府による香港の独裁体制化の兆しは昨年末から見られたが、本年6月末の「香港特別行政区国家安全維持法(以下、国安法)」施行後、それは急速かつ多面的に進んでいる。

 徹底した反中共の姿勢をとる新聞「蘋果日報(ひんかにっぽう)」創業者の黎智英(ジミー・ライ)や日本でも馴染みの若手活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)らが次々と逮捕(その後保釈)されたことは知られているが、そうした著名人の「見せしめ的逮捕」のみならず、市民を萎縮させる数々の動きが香港のなかで起きている。

11月23日、即日収監された黄之鋒(ジョシュア・ウォン)(写真/gettyimages)

11月23日、即日収監された黄之鋒(ジョシュア・ウォン)(写真/gettyimages)

■教科書に載らない事実

 例えば教育界がそう。行政府への忖度などせず、「人権」や「民主主義」に触れる授業を行う教職員は、教育局から難癖を付けられて摘発され、資格停止処分となることもある。また、これまで高校の「通識教育」(一般常識)の教科書には、前述の黄之鋒や周庭も参加した2014年の「雨傘運動」に関する記述が掲載されていたのだが、新しい教科書ではそれが削除された。ということは、昨年、世界的なニュースとなった香港市民の200万人デモや大学構内での「戦闘」も、この先、香港の教科書には載らないということだ。

 また、当局は公務員にも手を突っ込んでおり、街頭デモで警察に拘束されたことを理由に46人を免職にしたと発表しているが、このデモは国安法施行後のものではなく、昨年の話。つまり国安法違反でも何でもないのに処分しているのだ。

 攻撃の矛先は、そうした当局による強権発動の事実を国内外の人々に伝える役割を担う報道機関に対しても向けられている。

「この間、勝手な理由をつけて突然逮捕ということがあちこちで起きています。われわれは常にその可能性を意識しており、当然のことながら萎縮する者もいますね」

 あるメディアに属する香港人記者は、そう語ったあとで、「家族には心配するなと言ってるんですが、覚悟はしています」と続けた。


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