”3分の2がシャッターを下ろす商店街”でラーメン店「櫻井中華そば店」に行列ができるワケ (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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”3分の2がシャッターを下ろす商店街”でラーメン店「櫻井中華そば店」に行列ができるワケ

連載「ラーメン名店クロニクル」

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食材や調理法にこだわったRamen Free Birdsのスペシャル醤油ラーメンは一杯1000円(筆者撮影)

食材や調理法にこだわったRamen Free Birdsのスペシャル醤油ラーメンは一杯1000円(筆者撮影)

 日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、名店店主が愛する一杯を紹介する本連載。老舗を20年以上勤めあげてから独立した横浜・本郷台の人気店の店主が愛する一杯は、保土ヶ谷の閑古鳥の鳴く商店街で行列を成す、手作りにこだわった醤油ラーメンだった。

【写真】閑古鳥が鳴く商店街で行列ができる醤油ラーメンはこちら!

■駅から10分 住宅街でラーメン店を開業

 JR根岸線の本郷台駅から徒歩10分。閑静な住宅街の中に古びたアメリカンガレージのような建物が見えてくる。2018年にオープンし、この6月で2周年を迎える「Ramen Free Birds(ラーメン フリーバーズ)」はアメリカのヴィンテージものを愛する店主・宮本智さん(54)がボロボロの建物を改装して作った地元に密着した知る人ぞ知る名店だ。
Ramen Free Birds/〒247-0005 神奈川県横浜市栄区桂町181-12/11:00~15:00、17:30~20:00、[火]11:00~15:00、水曜定休/筆者撮影

Ramen Free Birds/〒247-0005 神奈川県横浜市栄区桂町181-12/11:00~15:00、17:30~20:00、[火]11:00~15:00、水曜定休/筆者撮影


 およそラーメン店とは思えない外観だが、余計なものは足さない“引きの美味しさ”を追求したシンプルな醤油ラーメンが人気を呼んでいる。淡麗でじんわりと美味しいスープに柔らかめの細麺を合わせたラーメンは学生からお年寄りまで地元の幅広い層に受け入れられ、いい意味でクセのない一杯を仕上げている。

 20代をサラリーマンとして過ごした宮本さんだが、30歳の節目にラーメン界に転身。有名店の門を叩き、修行することなんと20年以上。気が付けばその店を支える重要なポジションを担っていた。宮本さんが独立すると聞き、筆者も含め、ラーメンファンの間に衝撃が走ったことを覚えている。なぜ、自分の店を作ることにしたのか。宮本さんは言う。

「長くこのエリアに住んでいるので、地元の人に自分が作るラーメンを食べてもらいたいという思いで始めました。自分の店なので気楽にやりたいと思っていましたが、いざ作り始めると凝り出してしまいますね(笑)」
Ramen Free Birds店主の宮本智さん。地元に愛される名店になった(筆者撮影)

Ramen Free Birds店主の宮本智さん。地元に愛される名店になった(筆者撮影)


 そのこだわりはラーメンフリークに広がり一躍人気店になる。一方で、宮本さんの狙い通り、地元のお客さんが多いのも特徴だ。取材中にも、近所に住む家族が宮本さんに野菜を差し入れしにやってきた。住宅街に構えているからこそ生まれる街の人との交流が楽しいと宮本さんはうれしそうに語る。

 たとえば、昨年は近所に住む小学生がラーメンの研究発表をしたいと宮本さんを訪ねてきた。「Free Birds」のラーメンが好きで、ラーメンの作り方を教えてほしいというのだ。

宮本さんは休憩時間や定休日を使って少年にラーメン作りを丁寧に教えた。カメラを片手に持ちながら、ラーメン作りを覚えていく少年。その時のうれしそうな顔が忘れられないという。後日、少年から研究をまとめた一冊のスクラップブックが届けられた。
ラーメン作りを教えた小学生が後日持ってきてくれたスクラップブック(筆者撮影)

ラーメン作りを教えた小学生が後日持ってきてくれたスクラップブック(筆者撮影)


「とても素敵なスクラップブックでした。“街と生きる”ってこういうことなんだなと日々感じています。この街に長く住んでいますが、この2年間で地元の良さを改めて知りました。自分のラーメン一杯で街の人たちと繋がれるんですよね」(宮本さん)

 妻と二人で切り盛りする「Free Birds」。都会のラーメン戦争とは離れた、街とともに生きていくラーメン店。「あと10年は頑張りたい」と宮本さんは話し、本郷台の人々を笑顔にするために今日もラーメンを作り続けている。

 そんな宮本さんの愛するラーメンは、横浜の保土ヶ谷にある手作りにこだわった醤油ラーメンだ。17年9月オープンのその店は、ラーメン雑誌で「Free Birds」と並んで掲載されていることが多く、ずっと気になる存在だったという。


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