斎藤工(さいとう・たくみ/1981年生まれ、俳優。主演作Netflixオリジナルシリーズ「ヒヤマケンタロウの妊娠」が配信中。「シン・ウルトラマン」は5月13日から公開(撮影/写真映像部・加藤夏子)
斎藤工(さいとう・たくみ/1981年生まれ、俳優。主演作Netflixオリジナルシリーズ「ヒヤマケンタロウの妊娠」が配信中。「シン・ウルトラマン」は5月13日から公開(撮影/写真映像部・加藤夏子)

 庵野秀明が企画・脚本、樋口真嗣が監督を務める映画「シン・ウルトラマン」が5月13日に公開された。「ウルトラマン」を現代にリブートした作品について、主人公・神永新二を演じる斎藤工が語った。AERA 2022年5月16日号から。

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――「シン・ウルトラマン」で演じたのは、「ウルトラマンになる男・神永新二」だ。

斎藤工(以下、斎藤):樋口真嗣さんをはじめとするチームの皆さんと、ウルトラマンになるという秘密を抱えた状態をどこまで出すかのさじ加減を、一緒に考えて作っていきました。禍威獣(カイジュウ)特設対策室専従班(通称・禍特対(カトクタイ))の作戦立案担当官で頼もしいスペックを持つ人間ですが、言葉数が多いわけでも、群れるタイプでもない。よく言えばミステリアスで、悪く言えば調和しようという意識がない。そこは僕も心当たりがあるので、うまく融合できたらいいなと思いました。

■人は進化しているのか

――作品の魅力をこう語った。

斎藤:庵野さんと樋口さんが監督した「シン・ゴジラ」で証明された、オリジナル作品が持つ社会性と、それを現代にリブートする意味。この二つが、エンターテインメントの中に結実していて、とても惹かれました。

 いま、映画は、局地的な社会性を持った作品と、マーベル作品のように壮大なマルチユニバースみたいなものを描いた中に社会性を宿した作品の二極化が起きていると思っています。「シン・ゴジラ」と「シン・ウルトラマン」は後者で、大作の中で描かれる社会性に、とても強い力があると感じます。

 禍威獣は僕ら人間、いわゆる知的生命体が、進化しているのか退化しているのかわからない時間を過ごしている実態を、すごく冷静に捉えている。だから禍威獣の行動の理屈にどこか納得してしまうんですよね。人間は環境問題に対しての危機感をしっかりと持てているんだろうかと疑問を感じます。

 人間と禍威獣は、“正義”と“悪”という対立構造に見えますが、その狭間にウルトラマンが現れたから、見えてくる概念がある。ウルトラマンのような目線が、いまの僕らには必要なのではないかと思うんです。これは正義、これは悪、どこかに線を引くことで戦争が起きてしまうのではないかと感じます。

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