
ちょっと形が歪なだけで手にとってもらえないばかりか、流通網にも乗らない。そんな「悪い子」たちとされていた規格外の「ふぞろい商品」を集めたら、意外な人気が出ました。AERA 2022年2月21日号の記事から。
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赤々としたミニトマトにフレッシュな水菜。さつまいものような彩りの「カラフルにんじん」や、近所のスーパーでは見かけない「たもぎ茸(たけ)」なるきのこまで。段ボールを開くと、個性的な野菜がぎっしり入っていた。
だが、よく見ると、にんじんは少しひび割れている。舞茸(まいたけ)は石づきから取れて、袋から取り出すとぱらぱらとこぼれ落ちた。
日本一の青果取扱量を誇る大田市場から届いた「みたあじセット」の中身だ。野菜の目利きが選んだのに、なぜ。
■あえて“Bランク”以下
「みたあじでは、スーパーなどでは手に取ってもらえない規格外野菜を取り扱っています」
そう話すのは、「みたあじ」の宅配サービスを展開する東京促成青果の代表、大竹康弘さんだ。見た目が凸凹だったり、大きすぎたりする野菜は一般の流通には乗らずに廃棄されることも多かったという。
市場に選ばれなかった野菜を販売したいと、昨年2月に通販サイト「みためとあじはちがう店」を立ち上げた。
「スーパーや青果店で買うと、どうしてもきれいな見た目の野菜を選んでしまいます。『みたあじ』は、ぱっと見どこが規格外なのかわからないものもありますが、どれも店頭では選ばれない子たちですよ」(大竹さん)
スーパーでひびの入ったにんじんと、そうでないにんじんが並んでいたら、ほとんどの人はきれいなにんじんを手に取るだろう。石づきから外れた舞茸を見た日には、クレームを入れる人もいるかもしれない。どれも味は変わらないのに……。
そんな消費者心理もあってか、通常スーパーに並ぶのは、サイズや形も規格内の“Aランク野菜”だという。
そこで、みたあじでは、規格から外れた“Bランク以下”の商品を販売することにした。もちろん、むやみに売るのではなく、市場の目利きが選んだ美味(おい)しく食べられるものばかりだ。