AERA 2022年2月14日号より
AERA 2022年2月14日号より

 オミクロン株の感染拡大が止まらない。研究チームによると、流行が予想より長引く可能性があるという。AERA 2022年2月14日号の記事では、オミクロン株の感染力を示す研究データをレポートする。

【オミクロン版「自宅療養マニュアル」チェックリストはこちら】

*  *  *

 新型コロナウイルスの変異株オミクロン株のうち、当初に流行していた系統とは遺伝情報が少し異なる、別系統のウイルスがデンマークなどで増加している。より感染しやすいとみられ、こちらが主流になると、感染者数がなかなか減らずにオミクロン株の流行が長引くのではないかと懸念の声が上がっている。

 もともと流行していたオミクロン株は「BA.1」系統、新たに登場したのは「BA.2」系統と呼ばれる。

■広がり把握できぬ恐れ

 BA.1は、ウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質の遺伝子の一部が欠損しているが、BA.2には欠損がない。欧州では欠損の有無でオミクロン株かどうかを調べている国が多く、その方法ではBA.2は見つけられない。このため、レーダーでの検知が難しい「ステルス戦闘機」などにちなみ「ステルスオミクロン」というあだ名がついた。

 国内では別の方法で調べているためBA.2もオミクロン株として検出できる。ただし、国内の方法では、BA.1とBA.2の区別がつかない。ゲノム解析をすればわかるが、新規に見つかったウイルスの5~10%程度しか解析されていないので、BA.2の広がりを迅速に把握できない恐れがある。

 それでも、国内でもBA.2は見つかり始めている。国立感染症研究所によると、1月30日までに47件見つかった。

 デンマークでは、1月第3週に見つかった新型コロナウイルスのうち65%をBA.2が占め、主流になった。英国やフィリピン、インドなどでも増えてきている。

■感染速く広がりやすい

 コペンハーゲン大学などの研究チームは昨年12月20日から今年1月18日までに感染者が出た8541家庭の1万7945人について分析した。最初に感染が見つかってから7日間の観察では、BA.2への感染者から家庭内で二次感染が起きたと推計された割合は39%なのに対し、BA.1では29%、14日間の観察ではBA.2が42%、BA.1が36%と推計された。

次のページ