今夏の参院選を見据え、国民民主党と都民ファーストの会が合流に向けて協議を進めている。32の1人区で野党候補を一本化し、与党に対抗する野党共闘は遠のいているのが現状だ。AERA 2022年1月31日号の記事を紹介する。

【写真】昨年11月、枝野幸男氏から代表を引き継いだ泉健太氏

東京都の小池百合子知事(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表は昨年12月、都庁で会談した
東京都の小池百合子知事(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表は昨年12月、都庁で会談した

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 野党再分裂の引き金になりうる構想に、異論は付されなかった。

「国民民主党が都民ファーストと合流するという話が出ているが」

「はい。それは政党が考えることですので」

 1月14日の首相官邸。岸田文雄首相(自民党総裁)との会談後、記者団に問われた連合の芳野友子会長は「連合としてはそういう動きについて『受け止める』というか、そういうスタンスです」と語った。

 芳野氏が連携を事実上容認したのはその2日前。国民民主の玉木雄一郎代表が連合本部を訪れ、今夏の参院選東京選挙区で、小池百合子東京都知事が立ち上げた地域政党「都民ファーストの会」(都民ファ)と統一候補を立てる考えを伝えたときだ。

■国民民主と都民ファが合流に向けて協議

 国民民主と都民ファは13日、国会内で勉強会を開いた後、両代表が並んで連携を加速していくことを表明した。小池氏も同じ日、「今はコロナ(対策)に集中している」と前置きをした上で、「彼らがしっかりやってくれていると思う」と見守る考えを示した。2月に開かれる国民民主の党大会に向けて、国民民主と都民ファは合流に向けた協議を進めている。

 連合の民間産別に支援される国民民主は、昨年10月の衆院選で8議席から11議席へと増やした。「躍進」と報じられてきたが、実は悩みを抱えていた。

 2019年参院選と比べると、比例区の得票は88万票以上減少し、259万票あまり。20年に大半の国会議員が立憲に合流した影響とは言え、参院選で連合の組織内候補を4人も抱えている。幹部は連合にも「あと140万票足りないがどうしたらいいか」と相談していた。玉木氏らが衆院選前から協議を重ねてきた都民ファとの合流構想は打開策の一つで、幹部は「小池氏ほど票が取れる人はいない」と期待を寄せる。

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