元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】稲垣さんの愛用するパソコンケースはジーンズ素材の巾着

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 正月早々、背筋の凍る体験をした。マイパソコン(マック)が突然、電源に繋(つな)げなくなったのだ。繋いでも反応しないのである。

 間の悪いことに、それが発覚したのがパソコンを持ち込んでのリモート講演の仕事の現場で、先方の機転で何とか講演はやり遂げてホッと一息ついたものの、ふと考えれば本当のピンチはここからではないか!

 問題が接続機器にあるなら買えば済むが、古いパソコンなので本体に問題がある可能性もある。もしそうならオオゴトだ。修理できるのか、できるとしてもどのくらいお金と時間がかかるのか……いや考えていても答えは出ない。会場を出たその足で、講演スタッフに教わった近くの大型電器店へ駆け込んだ。

 アップルストアへ行き、アップルマーク入りの黒服を来たお兄さんに事情を説明するとサッと接続機器売り場へ連れて行ってくれたが、いやもしかして本体に問題がある可能性もありますよネと言うと、あ、それなら修理になります受付はアチラと指差され、そこで黒服の人を捕まえてまた一から事情を説明。すると、予約はされてますかと。いやしてませんが……。「修理受付は予約制で、今日と明日はいっぱいなので明後日以降になります」

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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