新型コロナウイルス対策として重要となる換気。自宅はもちろん、学校や職場でも気を配ることが重要だ。どんな点に気を付けばいいのか。AERA 2021年10月4日号は、専門家に聞いた。

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ワクチンの職域接種会場や劇場でも換気は徹底されている (c)朝日新聞社
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ワクチンの職域接種会場や劇場でも換気は徹底されている (c)朝日新聞社

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 新型コロナの「第5波」では、20歳未満の感染が急増した。特に児童生徒が集まる学校での集団感染が心配だ。学校での換気について東京理科大学の倉渕隆教授(空気調和・衛生工学会副会長)は言う。

「学校は学校環境衛生基準に基づいて必要換気量を守ることが推奨されています。ですが、学校によって換気設備が全然違って、自動換気できる最新の学校もあれば、窓開け換気をしなければならない古い校舎もあります。窓開け換気が必要な場合は、冬場に暖房をつけて換気を忘れないことが肝心です。教師など特にしゃべる人は、マスクの着用を徹底しましょう」

 職場での集団感染も防ぎたい。緊急事態宣言下で、事業者は国から出勤者数7割減をめざすテレワーク(在宅勤務)の徹底が求められた。だが、日本生産性本部が企業・団体に勤める20歳以上の人を対象に7月に行った調査では、テレワーク実施率は20.4%にとどまった。

 職場が大きなビルであれば、建築物衛生法によって自動換気システムがある。だが、小規模のオフィスであれば、機械換気設備がなく、窓開け換気をしなければならないこともある。その場合、基本的に住宅と同じように1時間に2回、5分ほど窓を開けるのが目安となる。

■密閉した状況は要注意

 ただ、勘違いもあるという。倉渕教授はこう指摘する。

「窓開け換気を補助するために、窓に向かって(空気を循環させる)サーキュレーターを回す方法もあるのですが、使い方を間違えていることが結構あります。密閉した状況で扇風機のように使うケースもあり、万一室内に感染者がいた場合は、むしろ感染拡大につながる恐れがあります」

 密閉した状況で空気を回すのは危険だ。昨年1月、中国で礼拝ツアーに参加した68人が往復100分間、換気せずに空調だけ動かしたバスに乗ったところ、1人の感染者によって23人が感染した事例があった。

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