※写真はイメージ(gettyimages)
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 9月9日に開幕する舞台「Birdland」でカリスマロックスター、ポールをKAT‐TUNの上田竜也さんが演じる。AERA 2021年9月13日号で、自身の中で芝居の基礎になった経験や舞台に立つことの醍醐味を語った。

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 主演を務める舞台「Birdland」が9月9日に幕を開ける。演じるのは、富も名声も手にしたカリスマロックスター、ポールだ。ポールは、世界ツアー最後の1週間を過ごすなかで、次第に精神のバランスを崩していく──。イギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスの戯曲を、劇団「ゴジゲン」主宰の松居大悟が演出し、安達祐実や玉置玲央、岡田義徳らがキャストに名を連ねる。

■自由に生きる姿の魅力

 ポールは繊細でありながら、自由奔放で自己主張が強く、ちょっとナルシストな一面もある。きっと誰もが「こんなふうに生きられたら」と思っている部分を体現している人物だと思います。多くの場合、社会に出て、人々と関わるなかで、どこかで自分を抑えながら生きていくようになるけれど、ポールは周囲に合わせることなく自由に生きて、そんな姿を人々は「いいな」と思い、結果的に成功を手にした。トップに立ったからそうなったのではなく、もともとそういう精神の持ち主だったんだろうなと思っていて、そこに魅力を感じます。

 常識というものがあまりないですし、すべて自分が中心。そういう意味では「子どもっぽいな」と思うこともあります。すごく悪く言えば、“子役がそのままスターになった感じ”と言えるかもしれません。自己中心的なので、周囲から少しずつ人がいなくなっていくわけですが、ポールはそのことに気づくことができない。逆に、それこそが「カリスマ的な存在であること」と思ってしまっているのがポールという人物です。

 次第に精神が不安定になっていく。そんなポールという人間を「わからないわけじゃない」と言う。

 注目される人間には、その人なりの苦悩というものがあるわけで、そうした心の内をどうやって見せないようにしていくか。そういう意味で、決して「自分から遠いキャラクターだな」とは思っていません。僕自身も、「みんながこう思うのならそこに合わせていこう」と考えるタイプではないですし。だからこそ、自分が演じるポールは客観的にはどう映るのか、演出の松居さんの手によって、どう色濃くしてもらえるのか、楽しみでもあります。

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