コロナ禍の外出自粛が続き、親子が家庭の中で“密”になる状態が続いている。子育て情報誌「AERA with Kids」で、「コロナ禍の家庭学習での声かけ」をテーマにインスタライブを行うと大きな反響があった。のべ692人が視聴し、子育て中の親たちから、プロ家庭教師また塾ソムリエで知られる西村則康さんに質問が相次いだ。AERA 2021年5月31日号ではその西村さんに、追加で詳しく話を聞いた。

AERA 2021年5月31日号より
AERA 2021年5月31日号より
「名門指導会」代表 西村則康さん/プロ家庭教師、塾ソムリエとして活躍。『共働きだからできる 中学受験必勝法!』『中学受験 偏差値20アップを目指す逆転合格術』など著書多数(写真:本人提供)
「名門指導会」代表 西村則康さん/プロ家庭教師、塾ソムリエとして活躍。『共働きだからできる 中学受験必勝法!』『中学受験 偏差値20アップを目指す逆転合格術』など著書多数(写真:本人提供)

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──コロナ自粛で、イライラ。子どもの良くない態度が目につき、つい怒ってしまいます。

 親子が近い距離で長時間過ごせば、欠点が気になるのは当然です。子どもは本来、親の言うことなんて聞かないもの。自由奔放で、やりたいことを優先させるのが当たり前なのです。

 コロナ禍で親もストレスがたまっていると、少し注意するつもりが、普段なら言わないような暴言を吐いてしまったりする。まして勉強など教えようものなら必ずぶつかるでしょう。これでは親子関係が壊れます。

 子どもは一見、親からすると正しくない行動をとっているようでいて、実は真面目な義務感を持っています。自分がするべきことをわかっていながらそうできず、葛藤しているのです。

■イラッで6秒数える

 親に必要なのは、最低限の冷静さを保つこと。子どもにイラッとして頭に血が上ってきたと思ったらまずその場から離れる。叱ろうと思った瞬間、心の中でゆっくり6秒数える。この「6秒ルール」で心の棘が少し取れて言い方も変わるはずです。親が期待することの20%でも子どもが努力していたら、十分だと思って。それを認めてすかさずほめる。これこそが親子関係をよくする秘訣です。

──宿題さえなかなか進まない低学年の子ども。やっと終わればすぐに遊びに夢中。中学受験も考えているのに大丈夫でしょうか。

 勉強をしろしろと言葉で促しても子どもの心には届きません。子どもはむしろ、親が機嫌の良い雰囲気を醸しだしているかどうかに敏感に反応します。まずは帰宅した子を温かく迎え、ゆっくり話などしてください。自分から「遊びに行く前に宿題をしようかな」という気持ちにさせることが大切なのです。中学受験を考えているとしても、低学年のうちは計算力や語彙力を身につければ十分。過剰な家庭学習や、先取り学習は意味がありません。

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AERA編集部
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