学習には、適切な時期があります。小学校低学年は読み書き、計算を完璧にすればいい。4年生以降は抽象概念が扱われ、難易度が上がりますが、これを理解するには、未就学時期にどれだけ夢中で遊んだかが重要です。幼児期に日常生活の経験と遊びの中から、短期記憶や、図形の概念、速度や比重、密度や体積といったことを身体感覚で得たかどうかで、学習を理解するベースが育まれます。大切なのは、短くてもちゃんと集中して学習に向き合えているか。取り組む姿勢をみてあげてください。

■共働きに罪悪感は不要

──子どもにしっかり向き合いたいとは思うのですが、共働きなので、学習のフォローが十分にできず心配です。

 まず、「共働きが教育上よくない」という気持ちを持つのはやめてくださいね。親がいつも隣で勉強を見ることが、必ずしも子どもを良い方向に導くとは限りません。そもそも、学習とは、子ども自身が目的を持って自主的に取り組むべきもの。その訓練ができる環境を作れさえすれば、共働きでもまったく構わないのです。

 自立性を育むには、スモールステップが肝心です。低学年なら、まずは朝起きてカーテンを開けたり、新聞を取ってきたりという簡単な仕事を与えるだけでもいい。できたら必ず「ありがとう」と伝えること。親が帰宅する前に学校の宿題を終えていたら必ずほめて、「早く終えていたから、一緒に遊べるね」と団らんの時間を持つ。たとえ、宿題を終えてなくても「ノートを開いてやろうとしたんだねぇ」などと“努力の痕跡”を見つけて、すかさずほめる。時間はかかりますが、少しずつ導いていってください。

(構成/ライター・玉居子泰子)

AERA 2021年5月31日号より抜粋

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AERA編集部
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