米国の大統領選挙では、投票所での新型コロナ感染リスクから、郵便投票が激増。オンライン投票に向けての課題が見えた (c)朝日新聞社
米国の大統領選挙では、投票所での新型コロナ感染リスクから、郵便投票が激増。オンライン投票に向けての課題が見えた (c)朝日新聞社
平井卓也デジタル改革担当相(左)と会談する日本IT団体連盟会長の川邉健太郎・ヤフー社長/9月24日、東京都千代田区 (c)朝日新聞社
平井卓也デジタル改革担当相(左)と会談する日本IT団体連盟会長の川邉健太郎・ヤフー社長/9月24日、東京都千代田区 (c)朝日新聞社
AERA 2020年11月23日号より
AERA 2020年11月23日号より

 一向に終息しない新型コロナウイルスが結果的に背中を押す形となり、国内で「オンライン投票」が帆を上げた。暗礁に乗り上げることなく進むのか。AERA 2020年11月23日号から。

【「オンライン投票」早期導入の主なポイントは?】

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 新型コロナの感染拡大を機に様々な分野で進むオンライン化。「選挙の投票もオンラインで」との声も広がり始めた。

「オンライン投票」とは、自宅でくつろぎながら、ショッピングや仕事の合間に、何なら海外の出張先からでも、スマホやパソコン、タブレットのボタン一つで投票できるシステムだ。実現すれば確かに便利だ。投票率も上がるだろう。

「オンライン投票が投票率向上のみならず、新型コロナ対策に決定的に重要であると確信し、今回の要請に至りました」

 こう語るのはIT業界の関係者らでつくる「日本IT団体連盟」の代表理事兼会長を務める川邊健太郎・ヤフー社長だ。

 同連盟は11月5日、オンライン投票の導入に向けた実務検討の早期開始を総務省に要請した。最大の特徴は、隔離状態に置かれている「新型コロナウイルス陽性者及び濃厚接触者」に対する特例としている点だ。

 川邊さんはコロナ禍の深刻化に伴い、海外で選挙の延期が相次いでいるとの報道に触れ、国内で感染したり濃厚接触者と認定されたりして隔離されたとき、「どうやって投票するんだろう」と懸念を抱いたという。

■大統領選での郵便投票

 日本では病気などの理由で投票所に行くのが困難な場合、郵便投票や病院などで投票することも特例として認められている。だが今は、いつ誰が新型コロナに感染するか、濃厚接触者になるかは予測不能だ。仮に投票日直前に隔離された場合、郵便投票などの手続きに要する期間や、コロナ患者が触れた投票用紙を送付・開票するリスクを踏まえると、既存の手続きでは不十分で、国民の投票の権利を保障するのは困難になる。そこで出番になるのが、オンライン投票というわけだ。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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